退職金が支払われるのは一般的にいつ?
退職金がいつ振り込まれるかは、法律で一律に定められているわけではありません。 支払い時期は各企業の就業規則や退職金規程によって決まるため、会社ごとに異なるのが実情です。
とはいえ、一般的には退職後1〜2か月以内に支払われるケースが多いとされています。
退職者が集中する年度末や会社の決算期は、人事・経理部門の手続きが混み合い、通常より時間がかかることもあるため、余裕をもって資金計画を立てておくことが大切です。
なぜ支払い時期に幅があるのか
退職金の支払いは、毎月の給与とは法的な扱いが異なります。 労働基準法第23条には、退職した際に請求があった場合、会社は7日以内に賃金をはじめとする金品を返還しなければならないという規定があります。
ただし退職金については例外が認められており、就業規則に「退職後○か月以内に支払う」と定められている場合は、その規定の期限内に支給すればよいとされています。
つまり、会社が規程で「退職後2か月以内に支払う」と定めていれば、2か月後の支払いでも法的に問題ありません。 支払い時期を正確に把握するには、まず自社の就業規則を確認し、不明点は人事・総務担当者に直接問い合わせるのが確実な方法といえるでしょう。
退職金制度の種類で受け取り時期が変わる
退職金の受け取り時期は、会社が導入している制度によっても変わります。 多くの企業が採用している退職一時金制度(会社が独自に積み立てた資金を一括支給する仕組み)は、退職後1〜2か月程度で振り込まれるのが一般的です。 一方、確定拠出年金(DC)は原則として60歳以降に年金または一時金で受け取ることができ、確定給付企業年金(DB)は定年年齢や規約で定められた受給可能年齢に達した時点が支給開始になるなど、制度によって受け取りのタイミングは大きく異なります。 自分の勤め先がどの制度を導入しているかを事前に把握しておくことで、退職後の生活設計がぐっと立てやすくなります。
なお、中小企業・確定給付企業年金・小規模企業共済・保育士・派遣・国家公務員一般についても、基本的には退職後1〜2か月が目安という点は共通していますが、制度ごとに請求手続きの流れが異なるため、加入制度を早めに確認しておくことをおすすめします。
退職金の源泉徴収票はいつもらえる?
退職金を受け取った場合、会社からは通常の「給与所得の源泉徴収票」とは別に、「退職所得の源泉徴収票」が発行されます。
この2種類の書類は、それぞれ役割が異なるため、混同しないよう注意が必要です。
退職所得の源泉徴収票の発行時期
退職所得の源泉徴収票は、退職後1か月以内にすべての受給者に交付しなければならないと、国税庁のルールで定められています。
つまり、退職金の振込より前後する場合もありますが、退職からおおむね1か月以内に受け取れると考えておけばよいでしょう。 実際には退職金の振込と前後して郵送されてくるケースが多く、手元に届いたらすぐに内容を確認し、大切に保管することが重要です。
2種類の源泉徴収票の違い
退職所得の源泉徴収票には、退職した会社から支払われた退職金の金額と所得税額が記載されています。
一方、給与所得の源泉徴収票は同年1月1日から退職日までの給与をまとめたもので、転職先に提出して年末調整に使う書類です。
退職所得の源泉徴収票は転職先への提出は原則不要ですが、確定申告が必要になるケースでは手元に残しておく必要があります。
もし1か月経っても届かない場合は
退職から1か月が過ぎても源泉徴収票が届かない場合は、まず前職の人事・総務担当部署に問い合わせましょう。 それでも発行してもらえない場合は、税務署に「源泉徴収票不交付の届出手続」を行うと、前職の会社に税務署から交付するよう指導が入ります。 Indeed 退職後の手続きは何かと重なりがちですが、源泉徴収票は後から必要になる場面が多いため、退職直後に状況を確認しておくと安心です。
建退共(建設業)の退職金はいつもらえる?
建設業で働く方の退職金制度として、国が設立した「建設業退職金共済制度(建退共)」があります。
現場や事業所を移り歩くことが多い建設業の特性に対応するため、共済手帳に証紙の貼付を受けることで掛金を積み立て、退職時には建設産業で働いた期間分をまとめて退職金の支給対象とすることができます。
受け取れる条件と申請手続き
建退共の退職金は、共済手帳に貼付された共済証紙が12か月分(21日分を1か月と換算)以上になった方が、建設業関係の仕事をしなくなったときに、本人からの請求により普通預金口座に直接振り込まれます。
請求には「退職金請求書」に記入のうえ、共済手帳・住民票などの必要書類を添えて、各都道府県の建退共支部に提出する必要があります。
いつ振り込まれるか
建退共の退職金は、受取手続きの申請をしてから約1か月後にしかもらえません。書類に不備がある場合は2か月以上かかることも珍しくありません。
つまり「退職日から1か月」ではなく「申請日から1か月」という点が重要です。 退職後にすぐ申請しなければ、それだけ受け取りが遅くなってしまいます。建設業を離れる予定が決まったら、早めに必要書類を準備しておくことをおすすめします。
なお、電子申請も利用できるため、外出先からでも手続きが可能です。書類の不備による遅れを防ぐためにも、事前に最寄りの建退共支部に記載内容を確認してもらうと安心でしょう。
中退共・林退共の退職金はいつもらえる?
中退共(中小企業退職金共済)の場合
中小企業退職金共済制度(中退共)は、中小企業が加入する国の退職金制度です。
退職金は会社ではなく中退共から直接、退職した従業員の口座に振り込まれます。
退職金の支払いは、請求を受け付けてから1か月から、掛金の納付方法によっては2か月半程度でお支払いしています。
退職した月分までの掛金の入金を確認してからの支払いとなるため、事業所の掛金の納付状況によっては2か月以上かかることもあります
つまり、退職後に申請が遅れれば遅れるほど、受け取り時期も後ずれします。
退職が決まったら、会社から「退職金(解約手当金)請求書」を受け取り、速やかに手続きを進めましょう。
振込通知については、支払いの準備が整ったら振込予定日の約2週間前に従業員宛に「退職金等振込通知書」が届くので、支払明細や振込予定日を確認できます。
林退共(林業退職金共済)の場合
林業退職金共済制度(林退共)は、林業に従事する労働者のための共済制度で、仕組みは中退共に近い構造です。
掛金納付月数に応じた退職金が、退職後に本人口座へ直接振り込まれます。
支払い時期の目安も中退共と同様に、請求受付から1〜2か月程度が一般的とされています。
林業の仕事を離れる際は、林退共の手帳(共済手帳)を手元に保管しているか確認し、早めに請求手続きを行うことが大切です。
公務員・教員の退職金はいつもらえる?
公務員の退職金(退職手当)は、国家公務員退職手当法や各地方の条例によって支給基準が明確に定められており、民間企業と比べて支給時期の見通しが立てやすいのが特徴です。
支給時期の原則
公務員の退職金は、国家公務員退職手当法に基づき、退職後1か月以内に支給されるのが原則とされています。地方公務員もこれに準じており、基本的には退職後1か月以内に振り込まれることが一般的です。
具体的には、3月31日に退職する場合、同年の4月中には振り込みが行われるということです。
定年退職者の多くが3月末に退職するため、4月中に退職金が振り込まれるケースが最も多いといえます。
なお、退職者が多いタイミングでは退職金の振り込みが遅れる可能性もあるため注意が必要です。
年度末に退職者が集中する場合は、通常より数日〜1週間程度の遅れが生じることもあります。
教員の場合
教員は地方公務員に該当するため、国家公務員に準じた扱いとなり、退職後1か月以内に支給されるのが基本です。
ただし、都道府県によって条例の細部が異なることがあるため、退職を控えている場合は所属する教育委員会の給付担当窓口に早めに確認しておくと安心です。
公務員退職金の計算の仕組み
公務員の退職金の計算方法は、退職日の俸給月額に退職理由別・勤続年数別の支給割合をかけた基本額に、在職中の貢献度に応じた調整額を加算した金額です。
勤続年数が長くなるほど支給割合が上がる仕組みになっており、定年退職の場合は自己都合退職よりも高い支給率が適用されます。
退職のタイミングによって受け取れる金額が大きく変わるため、定年間際での退職を検討している場合は、支給率の変わり目となる勤続年数を事前に確認しておくことをおすすめします。
転職した場合の退職金はいつもらえる?
転職のために会社を退職した場合も、退職金の支給タイミングは基本的に一般的な退職と変わりません。
退職後1〜2か月以内に支払われるケースが一般的で、最終的には勤め先の就業規則や退職金規程によります。
転職先に入社するタイミングとのズレに注意
転職の場合、前職の退職金が振り込まれるのは退職後1〜2か月後であることが多い一方、転職先への入社は退職直後というケースも少なくありません。
退職から転職先への入社までに収入が途絶える期間が生じる場合は、退職金を生活費の一部として見込む人もいます。
そのような計画を立てている場合は、退職前に就業規則を確認し、支給時期の目安を把握したうえで転職のスケジュールを組むことが重要です。
退職金の時効にも注意
あまり知られていませんが、労働基準法第115条では、退職金の請求権は退職後5年間行使しない場合、時効により消滅すると定められています。
転職に忙しいあまり請求手続きを後回しにしてしまうと、受け取れなくなるリスクがあります。
退職の手続きとセットで、退職金の支給条件・申請方法を確認しておくことが大切です。
自己都合退職の場合の注意点
会社によっては、自己都合退職の場合に退職金が減額される規定を設けているケースがあります。
また、勤続年数が一定の期間に達していないと、そもそも退職金が支給されないという規定を持つ会社も多くあります。
転職を検討している場合は、退職金規程の支給条件・計算方法・支給時期を早めに確認し、転職のタイミングを慎重に判断することをおすすめします。
なお、自己都合退職と支払い時期の関係については、詳しくは下記の記事をご参照ください。

よくある質問(FAQ)
Q. 退職金はいつ振り込まれるか、法律で決まっていますか?
A. 法律による一律の規定はありません。
支払い時期は就業規則や退職金規程で定められており、一般的には退職後1〜2か月以内が多いとされています。
まず自社の就業規則を確認し、不明点は人事・総務担当者に問い合わせるのが確実です。
Q. 退職金の振込が遅い場合はどうすればよいですか?
A. まずは人事・総務担当部署に連絡し、支払いが遅れている理由と見込み時期を確認しましょう。
就業規則に定められた支払期限を過ぎてもなお支払われない場合は、労働基準監督署に相談することも選択肢の一つです。
Q. 退職金の源泉徴収票はいつ届きますか?
A. 退職後1か月以内に交付することが義務付けられています。
期日を過ぎても届かない場合は、前職の担当部署に問い合わせてください。
Q. 中退共の退職金を早く受け取る方法はありますか?
A. 申請してから約1か月の時間がかかってしまい、手続きを特別に早くしてもらうことは難しいのが実情です。 書類の不備が発生しないよう事前に確認を徹底し、退職後すぐに申請することが最善の方法です。
Q. 建退共の退職金は退職後すぐもらえますか?
A. すぐにはもらえません。申請書類を提出してから約1か月後の振込となります。
書類不備があれば2か月以上かかることもあるため、早めの申請と書類の事前確認が大切です。
Q. 公務員の退職金はいつ振り込まれますか?
A. 国家公務員退職手当法に基づき、原則として退職後1か月以内に支給されます。
地方公務員・教員もこれに準じるのが一般的です。
3月末退職の場合は4月中の振込となるケースが多くなっています。
Q. 転職した場合、退職金はもらえなくなりますか?
A. 勤続年数や就業規則の支給条件を満たしていれば、自己都合退職でも退職金は受け取れます。
ただし、会社によっては自己都合退職で金額が減額される場合や、一定の勤続年数に達していないと不支給となる場合があります。
就業規則の退職金規程を事前に確認しておくことをおすすめします。
まとめ
退職金がいつもらえるかは、勤め先の制度や雇用形態によって大きく異なります。
一般的な企業(退職一時金制度)では退職後1〜2か月が目安ですが、建退共・中退共などの共済制度では「申請受付から1か月」という仕組みになっており、請求が遅れた分だけ受け取りも遅くなる点に注意が必要です。
公務員・教員は法律に基づき退職後1か月以内が原則で、比較的時期の見通しが立てやすくなっています。
いずれの場合も、退職前に就業規則や共済の規定を確認し、必要書類を早めに準備しておくことが退職後の生活を安心して送るための第一歩です。
退職金の源泉徴収票も退職後1か月以内に発行されるため、手元に届いたら内容を確認のうえ、大切に保管しておきましょう。
転職を検討している方や自己都合退職を予定している方は、退職金の減額・不支給条件についても事前に確認しておくことをおすすめします。

