薬剤師の定年後の年収と再就職|手取りはどう変わる?働き方別シミュレーション

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定年を迎えた薬剤師が最初に直面するのが収入の変化です。

看護師と異なり夜勤手当の比重が低い薬剤師は、定年前後の収入の落差が比較的緩やかとされています。
ただし管理職手当や役職定年の影響は大きく、職場と雇用形態によって手取りは大きく変わります。

薬剤師の定年後の働き方に関する選択肢についても、以下の記事で掘り下げています。
合わせてご覧ください。

目次

定年後、薬剤師の収入はどのくらい変わるのか

再雇用(嘱託)を選んだ場合の手取り変化

厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査によると、薬剤師のピーク年収は50〜54歳の約744万円ですが、60代になると平均622万円まで低下します。

再雇用後は嘱託・パートタイムへの雇用形態変更に伴いボーナスや役職手当が減少するため、手取りはさらに下がるケースが多く、年収200〜300万円台になる方も珍しくありません。

定年前に収入の見通しを把握しておくことが重要です。

転職・再就職した場合の収入相場

新しい職場へ転職した場合の収入は職場によって異なります。

調剤薬局のパート薬剤師の平均時給は2,072円(薬キャリエージェント調査)で、週4日・1日6時間勤務であれば月収20万円前後が目安です。
在宅医療対応の薬剤師は専門性が評価されて年収500〜700万円以上の求人も存在します。
一方、物流センター・企業薬剤師は年収300〜400万円程度が相場とされています。

パート勤務を選んだ場合の月収目安

調剤薬局・ドラッグストアのパートで週3日・1日6時間勤務の場合、時給2,000〜2,300円として月収はおよそ14〜17万円前後が目安です。

年金受給前の60〜64歳の時期にこの水準が生活費を下回る場合は、退職金・貯蓄との組み合わせを事前に試算しておく必要があります。

なお、具体的な収入は勤務先・地域・経験によって異なるため、求人情報での確認をおすすめします。

60〜64歳の「年金空白期間」を乗り越えるお金の考え方

年金の受給開始は原則として65歳からのため、60歳で定年退職すると65歳までの5年間は就労収入が生活の主な柱となります。
この空白期間をどう乗り越えるかが、定年後の生活設計の最重要課題です。

年金が出るまでの5年間、いくら必要か

総務省統計局の家計調査報告(令和6年)によると、65歳以上の一人暮らし世帯の月間消費支出は約15万円です。
60〜64歳でも生活水準はほぼ同等と考えると、5年間で必要な生活費は単純計算で900万円前後になります。

就労収入なしで乗り越えるには相当な貯蓄が必要であり、再雇用や再就職で月20〜25万円程度の収入を確保できれば、貯蓄を大きく崩さずに済む計算になります。
定年前に自分の月間生活費を一度洗い出しておくことをおすすめします。

高年齢雇用継続給付金とは何か・いくらもらえるか

60歳以降の給与が60歳時点の75%未満に下がった場合に、雇用保険から給付金を受け取れる制度が「高年齢雇用継続基本給付金」です。

受給期間は60歳から65歳になる月までで、雇用保険の被保険者期間が通算5年以上あることが条件です。
長年薬局・病院・企業に勤務してきた薬剤師であれば多くの方が条件を満たします。

申請はハローワーク経由で行い、自動的には支給されないため、定年退職後に早めに手続きをすることが大切です。

給付金の2025年改正で何が変わったか

2025年4月以降に新たに60歳を迎えた方は、給付率の上限がこれまでの最大15%から最大10%へと縮小されています。
今後は段階的に廃止される方針で、2030年度に60歳を迎える方からは廃止予定です。

給付金に頼りすぎず、再雇用時の賃金交渉や勤務日数の工夫によって収入を確保する発想が今後はより重要になります。

自分の受給見込み額については、最寄りのハローワークまたは社会保険労務士にご確認ください。

65歳以降、年金と給与を「両取り」するときの注意点

65歳になって年金受給が始まると、就労収入と年金を同時に受け取る「両取り」の状態になります。

薬剤師の場合、65歳以降もパートや嘱託で働き続けるケースは多く、収入と年金を上手に組み合わせることが生活設計の鍵になります。
ただし仕組みを知らずに働き続けると、年金が減額される場合もあるため注意が必要です。

在職老齢年金の仕組みをわかりやすく解説

65歳以降に厚生年金に加入しながら働く場合、月給と老齢厚生年金の月額の合計が一定の基準額を超えると、超えた分の半額が老齢厚生年金から差し引かれます。
この仕組みを「在職老齢年金」といいます。

差し引きの対象は老齢厚生年金のみで、老齢基礎年金(国民年金部分)は減額されません。2
025年度の基準額は月51万円に設定されており、調剤薬局や物流センターでパート勤務する薬剤師の月給が20〜25万円程度であれば、基準額を超えにくく年金を満額受け取れるケースが多いでしょう。

2026年4月の基準額引き上げで何が変わるか

在職老齢年金の基準額は2026年4月から月51万円より月65万円へ引き上げられる予定です。
これにより、これまで年金が一部減額されていた方の中にも満額受け取れるようになるケースが増えます。

65歳以降も積極的に働きたい薬剤師にとって追い風となる改正です。
ただし制度は変更される可能性があるため、最新情報は日本年金機構や年金事務所でご確認ください。

薬剤師が「働き損」になりにくい働き方のパターン

在職老齢年金の観点から最も安心な働き方は、週3日程度のパート勤務で月給を20〜25万円程度に抑えることです。

調剤薬局やドラッグストアのパートはシフト調整がしやすく、この水準の収入を確保しながら年金を満額受け取る両立がしやすい環境です。

また65歳以降も厚生年金に加入しながら働くことで「在職定時改定」により年金額が毎年10月に増額されるため、「働くほど年金が増える」という側面もあります。

具体的な試算は日本年金機構の「ねんきんネット」でご確認ください。

働き方別・手取り総収入のイメージ比較

ここまで収入の変化や給付金・年金の仕組みを個別に解説してきましたが、「結局どの働き方が自分に合っているのか」を判断するには、働き方ごとの収入全体像を把握することが有効です。

以下では定年後の薬剤師に多い3つの働き方パターンについて、60〜64歳の空白期間と65歳以降に分けてイメージを整理します。

あくまで目安であり、実際の金額は勤務先・地域・経験によって大きく異なります。
詳細は各職場の求人条件や年金事務所でご確認ください。

パターン①:再雇用フルタイム(嘱託・週5日勤務)

同じ職場に嘱託として残りフルタイムに近い形で勤務するパターンです。

月収は25〜28万円程度が目安で、3パターンの中で60〜64歳の空白期間に最も安定した収入を確保できます。
厚生年金・健康保険への加入継続も維持されます。

ただし管理薬剤師の責任を引き続き求められるケースもあるため、業務内容と給与のバランスを定年前に人事担当者へ確認しておくことが重要です。

パターン②:調剤薬局パート(週3〜4日・日勤のみ)

調剤薬局でパートとして週3〜4日働くパターンです。時給2,000〜2,300円・1日6時間勤務の場合、月収はおよそ14〜17万円が目安です。60〜64歳の空白期間は退職金・貯蓄との組み合わせが必要になるケースもありますが、夜勤がなく残業も少ない職場が多いため、体力的な負担を抑えながら長く続けやすい点が魅力です。65歳以降は年金との組み合わせで生活が安定しやすくなります。

パターン③:ドラッグストア・物流センターパート(週3日程度)

OTC専門ドラッグストアや医薬品物流センターでパート勤務するパターンです。
時給2,000円前後・週3日勤務の場合、月収はおよそ12〜15万円が目安となります。
調剤未経験でも働けるため、病院や企業出身の薬剤師にも選びやすい選択肢です。

物流センターは土日休み・残業なしの職場が多く、生活リズムを整えやすい環境です。
60〜64歳の空白期間は収入が低めになるため、貯蓄計画との組み合わせをしっかり立てておくことをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q1. 定年後の薬剤師の平均年収はどのくらいですか?

厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査によると60代薬剤師の平均年収は622万円です。
ただし再雇用後にパート・嘱託になると年収200〜300万円台まで下がるケースも多く、事前の見通しが重要です。

Q2. 高年齢雇用継続給付金は薬剤師でも受け取れますか?

雇用保険の被保険者期間が通算5年以上あり、60歳以降の給与が60歳時点の75%未満に下がっていれば受給できます。

自動的には支給されないため、退職後にハローワークで早めに手続きを行ってください。

Q3. 在職老齢年金で年金が減額されるのはどんなケースですか?

2025年度の基準では月給と老齢厚生年金の合計が月51万円を超えると減額されます。
パート勤務で月給20〜25万円程度であれば基準額を超えにくく、年金満額受給との両立が可能なケースがほとんどです。

Q4. 定年後の収入設計で最初に何をすればよいですか?

「ねんきんネット」で年金見込み額を確認すること、月間生活費を洗い出すこと、職場の継続雇用条件を確認することの3つを定年の2〜3年前までに整理しておくことが、焦らない職場選びにつながります。

Q5. パート薬剤師として働く場合、社会保険には加入できますか?

週20時間以上・月額賃金8.8万円以上などの条件を満たせば加入できます。
厚生年金への継続加入により65歳以降の年金額も増やせるため、加入条件を満たす働き方を選ぶことがメリットにつながります。

Q6. 定年後も管理薬剤師を続けることはできますか?

再雇用後も継続できますが、管理薬剤師は薬機法上の責任を伴うため業務負担と給与が見合っているか慎重に確認してください。
条件は書面で確認しておくことがトラブル防止につながります。

まとめ

定年後の薬剤師の収入は、雇用形態や職場によって大きく変わります。

再雇用フルタイムは安定感が高い一方で業務負担も残り、調剤薬局や物流センターのパートは体力的な余裕と引き換えに収入が下がります。

どの働き方が正解かは、自分の生活費・貯蓄・年金見込み額のバランスによって異なります。

60〜64歳の年金空白期間をどう乗り越えるか、65歳以降の年金と就労収入をどう組み合わせるかという2つの時間軸で収入設計を考えることが、定年後の生活を安定させる鍵です。
高年齢雇用継続給付金在職老齢年金の仕組みは複雑に見えますが、一つひとつ整理すれば必ず自分に合った答えが見えてきます。

定年前の数年間を使って、収入の見通しをしっかり立てておきましょう。

定年後の薬剤師としてのキャリア全般については、こちらの記事もあわせてご参照ください。

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