警備員の資格一覧|種類・取得方法・定年後から始める手順

警備員として働くにあたって、資格は必須ではありません。
法定の「新任教育(30時間以上)」を受ければ、未資格でも就業できます。
しかし現実には、資格を持っていると採用が有利になり、給与や配置にも違いが出ることが少なくありません。
「どんな資格があるのか、何から取ればいいのか」と迷っている方のために、警備員に関わる資格の種類・取得ルート・費用・学習法をひとつの記事にまとめました。
(仕事内容そのものについては→警備員の仕事内容とは?もご覧ください)
警備員の資格、まず全体像を把握しよう
警備員に関わる資格は、大きく「警備業務検定」と「それ以外の国家資格・民間資格」の2種類に分けて考えると整理しやすくなります。
なかでも中心的な位置を占めるのが、警視庁が公表している検定合格警備員の配置基準にも示されている「警備業務検定」です。
これは警備業法に定められた国家資格であり、一般社団法人 警備員特別講習事業センターの説明によると、都道府県公安委員会が実施主体となっています。
資格の取得には2つのルートがあります。
一つは「直接検定」で、公安委員会が実施する学科試験と実技試験を直接受験して合格する方法です。
もう一つは「特別講習」で、国家公安委員会の登録を受けた講習機関が行う講習会を受講し、修了考査に合格することで合格証明書の交付を受ける方法といえます。
一方、警備業務検定以外にも、警備員として働く上で役立つ関連資格があります。
「警備員指導教育責任者資格」や「機械警備業務管理者資格」は、いずれも公安委員会が実施する講習を修了することで取得できる国家資格で、管理・監督職に就く際に求められます。
また、「自衛消防技術試験」「防災センター要員講習」「上級救命講習」は施設警備員が持っておくと有利とされる関連資格で、「警備員3点セット」とも呼ばれます。
本記事では、定年後に警備員を目指す方にとって最も実用性の高い「警備業務検定」を中心に解説します。
警備業務検定の種類一覧
警備業務検定は、業務内容の違いによって6種類に分かれており、それぞれに1級・2級が設けられています。
警備業務検定の概要(Wikipedia)でも整理されているとおり、6種類の内訳は以下のとおりです。
| 検定の種類 | 対応する主な業務 | 定年後に取る意義 |
|---|---|---|
| 施設警備業務検定(1級・2級) | ビル・商業施設・病院などの常駐警備 | ◎ 求人数・実用性ともに最も高い |
| 交通誘導警備業務検定(1級・2級) | 工事現場・道路・高速道路での誘導 | ○ 求人が多く、資格必須現場も多い |
| 雑踏警備業務検定(1級・2級) | イベント会場・お祭り等での群衆整理 | △ 業務機会は限られる |
| 核燃料物質等危険物運搬警備業務検定(1級・2級) | 核燃料物質等の危険物の輸送警備 | ✕ ごく特殊な業務に限られる |
| 貴重品運搬警備業務検定(1級・2級) | 現金輸送車・有価証券の運搬警備 | △ 特定の会社でのみ需要がある |
| 空港保安警備業務検定(1級・2級) | 空港内での手荷物検査・保安業務 | △ 空港勤務希望者のみ対象 |
2級は「現場の実務者向け」、1級は「管理・指導者向け」と位置づけられています。
2級の受験資格は18歳以上であることが基本条件であり、学歴や職歴に関する制限はありません。
ただし、特別講習(警備員対象)を受講するには、新任教育(30時間以上)を受けていることが前提条件となります。
1級を受験するには、同種別の2級合格証明書を取得したうえで、1年以上の実務経験が必要です。
1級は現場を統括する管理者としての知識・能力が問われ、特定の現場では1級資格者の配置が法律で義務付けられている場合があります。
定年後に初めて警備員の仕事を始める方にとっては、まず2級から取得するのが現実的です。
そのなかでも特に「施設警備業務検定2級」と「交通誘導警備業務検定2級」は、求人数・実用性ともに突出して高く、多くの警備会社が取得を推奨しています。
一般社団法人 全国警備業協会の調査によれば、施設警備と交通誘導はそれぞれ全国で6,800社以上・7,900社以上の警備業者が事業を展開しており、業界内でのニーズの大きさが際立っています。
核燃料物質運搬(36業者)・空港保安(82業者)といった特殊業種とは、需要の規模がまったく異なるといえます。
施設警備業務検定2級の取り方
施設警備業務検定2級は、警備業務検定のなかでも定年後に最初に目指す資格として最も適したものです。
取得ルートは「特別講習」と「直接検定」の2種類があります。
特別講習(合格率66〜76%)
特別講習は、国家公安委員会の登録を受けた講習機関が実施するもので、学科講習・実技講習を受けたうえで、修了考査(学科試験・実技試験)に合格することで資格が取得できます。
SPD株式会社のデータによると、特別講習による施設警備2級の合格率は2006年〜2024年の平均で66.4%、2024年度は76.3%とされています。
特別講習の費用は、警備員として在籍中の方向けが約33,000円、まだ警備員でない一般対象(「警備員になろうとする者の講習」)が約79,200円が目安です(詳細は実施機関にご確認ください)。
直接検定(合格率20〜40%)
直接検定は都道府県公安委員会が実施する学科試験と実技試験を直接受験する方法で、受験料は種別によって異なりますが13,000〜16,000円程度が目安です。
費用は特別講習より安く抑えられますが、独学での対策が必要なため難易度は上がります。
合格率が20〜40%程度にとどまるのはそのためで、警備業務の知識がまったくない状態での合格はかなり難しいといえるでしょう。
試験の内容
学科試験では、警備業法・憲法・刑法などの関連法令、警備業務の基本的な知識、事故発生時の応急措置などが出題されます。
実技試験では、出入管理・巡回・負傷者の搬送・警戒杖の基本操作などが課されます。
合格基準は学科・実技ともに100点満点中90点以上であり、準備なしで臨むのは難しい水準です。
合格後のメリット
施設警備2級を取得すると、多くの警備会社で資格手当が支給されます。
また、空港の施設警備など有資格者の配置が法的に義務付けられている現場に就くことができ、働ける現場の幅が大きく広がります。
昇給・管理職へのステップアップにもつながりやすくなるため、最初の目標として非常に意義のある資格といえます。
交通誘導警備業務検定2級の取り方
交通誘導警備業務検定2級は、施設警備2級と並んで取得者の多い、実用性の高い資格です。
取得ルートは施設警備2級と同様に「特別講習」か「直接検定」の2択で、受験資格・費用の目安・合格基準(90点以上)も基本的に同じ構造になっています。
ただし、一点大きな違いがあります。
交通誘導の実技試験は屋外で行われるため、季節や天候の影響を受けやすい点に注意が必要です。
実施スケジュールを確認した上で、体力的にも余裕のある時期に受験するのが望ましいでしょう。
この資格が特に重要視される理由は、警視庁が定める検定合格警備員の配置基準にあります。
高速自動車国道や自動車専用道路での交通誘導業務においては、交通誘導警備業務検定1級または2級の合格警備員を1名以上配置することが法律で義務付けられています。
つまり、資格がなければその現場に立てないということです。
高速道路工事の現場などでは有資格者の需要が非常に高く、資格手当の上乗せも期待できます。
定年のない仕事として警備業に注目している方にとって、交通誘導警備2級は特に求人の多いエリアで長く働き続けるための大きな武器になります。
資格なしでも働ける?未資格スタートの現実
警備員は、資格がなくても就業できます。
警備業法の規定により、新任教育(業種に応じて合計30時間以上)を受ければ、資格未取得の状態でも警備員として現場に立つことが可能です。
ただし、現実として理解しておきたいのは「配置できない現場がある」という制約です。
高速道路での交通誘導や空港の施設警備など、特定の業務については有資格者の配置が法律で義務付けられています。
これは警備員等の検定等に関する規則(国家公安委員会規則)で詳細に定められており、無資格者がどれだけ経験を積んでも、その現場には立てません。
採用の面でも違いが出ます。
多くの警備会社では、有資格者への資格手当の支給・特定現場への優先配置・昇格のしやすさといった点で、有資格者と無資格者の処遇に明確な差を設けています。
一方で、「まず働いてみて、仕事に慣れながら資格を取る」という流れも十分に現実的です。
警備会社の多くが資格取得支援制度を持っており、特別講習の受講費用を会社が負担してくれるケースも珍しくありません。
定年後に初めて警備の仕事に就く方は、未経験・無資格でまず採用してもらい、職場の支援を活用して資格取得を目指すという順番も賢い選択といえるでしょう。
学習教材を活用して試験対策を進める方法
警備業務検定の直接検定や特別講習の修了考査に向けて、自分のペースで学習しておくことは合格率を高める上で有効です。
学習の起点として活用しやすいのが、一般社団法人 全国警備業協会が提供する教育教材です。
施設警備業務・交通誘導警備業務それぞれの教本や、模擬試験問題集(100問)などが用意されており、学科試験の傾向をつかむ教材として活用できます。
都道府県の警備業協会を通じて購入できるケースも多いため、受講を予定している地域の協会に問い合わせてみるとよいでしょう。
自宅学習で押さえておきたいのは、警備業法・憲法・刑法の基本的な条文知識と、緊急時の対応手順です。
学科試験は20問60分・合格基準90点以上と高水準なため、試験前の反復練習が欠かせません。
特別講習では講習期間中に実技も含めた集中的な訓練が行われますが、事前に学科の基礎を固めておくことで、実技の習得にも余裕が生まれます。
定年後の方がこうした学習に取り組む際には、「1日30分の積み上げ」が無理なく続けるコツです。
警備業法の条文は難解に見えますが、実際の業務と結びつけて理解すると頭に入りやすく、「なぜこのルールがあるのか」を考えながら読むと記憶に定着しやすくなります。
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まとめ
警備員に関わる資格のなかで最も重要なのが、警備業法に定められた国家資格「警備業務検定」です。
6種類・各1・2級と体系化されており、特に「施設警備業務検定2級」と「交通誘導警備業務検定2級」は定年後のキャリアとして現実的で、求人数・実用性ともに抜きんでています。
未資格でも警備員として働くことは可能ですが、資格があることで配置できる現場が広がり、給与や待遇にも差がつきます。
まずは警備会社に就職して新任教育を受けながら実務に慣れ、会社の支援制度を活用して2級取得を目指すという順番が、定年後のスタートとして最も無理のないルートといえます。
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