「自分の年金は平均と比べて多いのか少ないのか」——老後の資金計画を立てるうえで、多くの会社員が気になるテーマです。
厚生年金の受給額は、現役時代の収入と加入期間によって人それぞれ異なるため、「平均」を知ったうえで自分の状況と照らし合わせることが重要です。
この記事では、厚生労働省の最新データをもとに会社員の厚生年金平均受給額を男女別・勤続年数別・年収別に整理し、老後の収支計画に役立てていただける情報をお伝えします。
自分の年金見込み額の正確な確認方法については以下の記事をご参照ください。

会社員の厚生年金、平均受給額はいくら?
厚生年金の受給額は「現役時代の標準報酬月額×加入月数」をもとに計算されるため、長く働き、収入が高いほど受給額が増える仕組みになっています。
まず男女別の平均から確認しましょう。
男性の平均(約16〜17万円/月)
社会保障審議会年金数理部会の報告(令和5年度)によると、厚生年金計での平均年金月額は15.1万円、男女別では男性16.9万円、女性11.6万円となっています。
厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報(令和3年度)」では男性の平均年金月額が16万3,380円と報告されており、直近の数字と概ね一致しています。
女性の平均(約10〜12万円/月)
同調査での女性の平均年金月額は10万4,686円で、女性は男性の3分の2に過ぎません。
この差の背景には、賃金の男女差と就業期間の差があり、男性の平均加入期間は443ヶ月(36年11ヶ月)に対し、女性は337ヶ月(28年1ヶ月)と女性が男性の4分の3にとどまっています。
近年は女性の就労継続が進んでいるため、この差は今後徐々に縮まると見込まれます。
男女合計の平均
| 区分 | 平均月額(厚生年金+基礎年金) |
|---|---|
| 男性 | 約16〜17万円 |
| 女性 | 約10〜12万円 |
| 男女平均 | 約14〜15万円 |
※社会保障審議会年金数理部会「公的年金財政状況報告(令和5年度)」・厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報(令和3年度)」をもとに作成
国民年金(基礎年金)と合わせた総受給額の目安
厚生年金の受給額として示される数字には、すでに国民年金(老齢基礎年金)が含まれています。
ここでは会社員と自営業者の受給額の差を整理し、老後の収支計画の土台として理解しておきましょう。
厚生年金+基礎年金の合計(会社員の場合)
2025年度の老齢基礎年金の満額は1ヶ月あたり6万9,308円(1956年4月2日以後生まれの場合)で、厚生年金の平均年金月額は約14万6,429円となっています。
この厚生年金の数字はすでに基礎年金部分を含んでいるため、会社員が受け取る年金は「厚生年金(報酬比例部分)+老齢基礎年金」の合計で、平均すると月14〜17万円程度という水準です。
厚生年金は男性の平均的な収入(平均標準報酬月額換算45万5,000円)で40年間就業した場合、老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)の合計が月23万2,784円という水準が政府の「標準モデル」として示されています。
国民年金のみ(自営業者等)との違い
自営業者やフリーランスが受け取れるのは、国民年金(老齢基礎年金)のみです。
日本年金機構の主要統計(令和4年度版)によると、国民年金の平均年金月額は55,422円で、厚生年金の平均年金月額は144,982円です。
このように、国民年金と厚生年金では年金額に2.6倍程の差があります。
| 加入区分 | 平均月額 |
|---|---|
| 会社員・公務員(厚生年金+基礎年金) | 約14〜15万円 |
| 自営業・専業主婦等(国民年金のみ) | 約5〜6万円 |
※厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2024年12月)をもとに作成
厚生年金と国民年金の受給額には、月額で約9万円、生涯に換算すると2,000万円以上の差が生じる可能性があります。
会社員として厚生年金に長く加入し続けることの経済的な意味は、この数字から明らかです。
勤続年数・年収別のシミュレーション
「自分の条件だとどのくらいもらえるのか」——これが多くの方の本音ではないでしょうか。
老齢厚生年金のもらえる年金額は「平均年収÷12×0.005481×加入月数」という式で大まかに計算できます。
年収が高く、加入月数が多いほどもらえる年金額が増えることを意味します。
以下の表は、この計算式をもとに老齢基礎年金(満額・約7万円/月)を含めた月額の目安を算出したものです。
自分の年収と勤続年数の交点を探してみてください。
勤続年数×年収別 受給額の目安(月額)
| 生涯平均年収 | 勤続20年 | 勤続25年 | 勤続30年 | 勤続35年 | 勤続40年 |
|---|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 約10万円 | 約10万円 | 約11万円 | 約12万円 | 約12万円 |
| 400万円 | 約11万円 | 約12万円 | 約12万円 | 約13万円 | 約14万円 |
| 500万円 | 約12万円 | 約13万円 | 約14万円 | 約15万円 | 約16万円 |
| 600万円 | 約12万円 | 約14万円 | 約15万円 | 約17万円 | 約18万円 |
※老齢厚生年金(報酬比例部分)+老齢基礎年金(満額)の合算概算値。
実際の受給額は標準報酬月額・年金改定率等により異なります。
あくまで目安としてご参照ください。
年収・勤続年数の差が生む影響
この表から読み取れる重要なポイントが二つあります。
一つ目は、年収よりも勤続年数の影響が大きいという点です。
年収300万円でも40年勤続すれば約12万円、年収600万円でも20年では約12万円と、両者がほぼ同水準になることが確認できます。
二つ目は、年収600万円・勤続40年と年収300万円・勤続20年では月額で6万円以上の差が生まれ、20年間の総受給額にすると1,400万円以上の開きになるという長期的な影響の大きさです。
自分の正確な年金見込み額は、毎年誕生月に届くねんきん定期便の数字で確認できます。
夫婦合計の年金受給額はどのくらい?
個人の年金額を把握したうえで、次に考えるべきは夫婦合計の受給額です。
老後の生活費は基本的に世帯単位で発生するため、夫婦二人分の年金収入を合算して生活費と比較することが、現実的な資金計画の出発点になります。
夫(会社員)+妻(専業主婦)のケース
夫が会社員で妻が専業主婦の場合、夫(厚生年金)が16万6,606円、妻(国民年金)が5万5,777円となり、夫婦2人の年金合計額は毎月22万2,383円となります。
一方、総務省の家計調査報告(2024年)によると、世帯主が65歳以上の無職世帯の1ヶ月の平均的な消費支出は約26万円です。
つまり夫会社員・妻専業主婦の標準的なケースでは、年金収入だけでは毎月約3〜4万円の不足が生じる計算になります。
老後の生活費の詳細については以下の記事で詳しく扱っています。

夫婦共働きのケース
夫婦の年金受給額は、共働きで共に厚生年金に加入していた世帯で月額約27.4万円が目安です。
共働き夫婦(夫:平均年収550万円、妻:平均年収350万円)では、世帯合計で月額約30.3万円が目安となり、平均的な生活費であれば年金収入の範囲内で生活できる可能性が高いといえます。
| 夫婦の働き方 | 年金合計(月額目安) | 平均生活費との比較 |
|---|---|---|
| 夫:会社員・妻:専業主婦 | 約22万円 | 約3〜4万円不足 |
| 夫婦ともに会社員(共働き) | 約27〜30万円 | ほぼ均衡〜若干黒字 |
| 夫婦ともに自営業 | 約11〜12万円 | 約14〜15万円不足 |
※総務省「家計調査報告(2024年)」・厚生労働省データをもとに作成
この表が示す通り、夫婦それぞれが厚生年金に加入し続けることが、老後の年金収入を最大化する最善策といえます。
平均より少ない場合に考えること
シミュレーション表と自分の状況を照らし合わせて、「平均より少ない」と感じた方も心配しすぎる必要はありません。
年金受給額を補う手段は複数あります。
自分に合った方法を選ぶことが、老後の収支を安定させる近道です。
繰り下げで増やす選択肢
65歳から受け取れる年金を66歳以降に繰り下げることで、1ヶ月あたり0.7%ずつ受給額が増えます。
70歳まで繰り下げると最大42%、75歳まで繰り下げると最大84%の増額になります。
繰り下げが自分にとって有利かどうかは、健康状態・家計の余裕・その他の収入源によって異なります。
繰り下げの損益分岐点や手取りベースの計算については、以下で詳しく解説しています。

iDeCoで補う選択肢
iDeCoは基本的に長期・積み立て・分散投資を活かせるため、投資リスクを抑えやすい特徴があります。
掛金が全額所得控除になるため、現役時代の節税効果も期待できる点が大きな魅力です。
2025年度の制度改正により、会社員のiDeCo掛金上限額が大幅に引き上げられる予定で、より多くの金額を積み立てられるようになります。
iDeCoについては別記事で詳しく解説予定です。
FP相談で老後の収支を整理する
年金見込み額・退職金・貯蓄・支出のバランスを一度専門家の目で整理してもらうことで、「何が足りてどこを補えばいいか」が具体的になります。
保険見直し本舗やマネーキャリアなどのFP無料相談サービスでは、ねんきん定期便を持参するだけで老後の収支シミュレーションを無料で作成してもらえます。
「老後の年金が少ない気がする」という漠然とした不安を、具体的な数字と対策に変えてもらえる最も手軽な方法といえるでしょう。
老後の生活費全体との兼ね合いについては以下もあわせてご参照ください。

よくある質問
Q. 厚生年金の平均受給額はいくらですか?
厚生労働省の最新データによると、男性の平均は約16〜17万円、女性は約10〜12万円、男女合計では約14〜15万円が目安です。
ただしこの数字には国民年金(基礎年金)部分が含まれており、厚生年金の報酬比例部分だけの金額はこれより少なくなります。
Q. 厚生年金40年加入するといくらもらえますか?
年収500万円・40年加入の場合、基礎年金を含めると月額約16万円が目安です。
年収600万円・40年加入であれば月額約18万円程度になります。
自分の正確な見込み額は、ねんきん定期便(50歳以上の封書版)で確認できます。
Q. 夫婦で年金はいくらもらえますか?
夫が会社員・妻が専業主婦のケースで月額約22万円、夫婦共働きのケースで月額約27〜30万円が目安です。
一方、65歳以上の無職世帯の平均的な生活費は月約26万円とされており、専業主婦世帯では毎月3〜4万円程度の不足が生じる可能性があります。
Q. 国民年金と厚生年金では受給額にどのくらい差がありますか?
厚生労働省のデータでは、国民年金の平均月額が約5〜6万円、厚生年金(基礎年金含む)の平均月額が約14〜15万円と、月額で約9万円の差があります。
生涯(20年間)で換算すると2,000万円以上の差になることから、厚生年金に長く加入することの重要性がわかります。
Q. 年金が平均より少ない場合はどうすればいいですか?
繰り下げ受給・iDeCo・NISAなどを組み合わせた補完策が有効です。
どの方法が自分に最適かはFPに相談して確認するのが確実で、保険見直し本舗やマネーキャリアなどの無料FP相談サービスを活用すると、具体的な対策を提案してもらえます。
まとめ
会社員の厚生年金平均受給額は、男性で約16〜17万円、女性で約10〜12万円が目安です。
勤続年数と現役時代の収入が受給額を大きく左右するため、長く働くほど・収入が高いほど受け取れる年金は増えます。
夫婦合計で見ると、専業主婦世帯では月3〜4万円の不足が生じるケースもあり、年金だけに頼らない老後の収支計画が重要です。
自分の正確な年金見込み額の確認は「ねんきん定期便の見方を徹底解説」で、老後の生活費との兼ね合いは「老後の生活費はいくらかかる?知っておきたい基本と全体像」もあわせてご参照ください。

