60代の再就職は、職種を絞ることで採用率が大きく変わります。
「なんでもいいから働きたい」という姿勢より、「自分の体力とスキルに合った職種はどれか」を先に整理した方が、採用につながる確率が上がるのが現実です。
定年後の働き方の全体像や選択肢の比較については、「定年後の仕事の選び方|選択肢と自分に合った働き方を見つける方法」もあわせてご覧ください。
この記事では、60代が実際に応募できる求人の種類と探し方、採用されるためのポイントを具体的にお伝えします。
60代の求人市場の現実
60代の再就職を難しくさせているのは、採用意欲の低さではなく、「業種・職種の選択」のミスマッチです。
採用に積極的な分野を正しく選べば、60代でも採用につながる可能性は十分にあります。
60代採用に積極的な業界と消極的な業界
シニアと合わせて検索されている職種キーワードの1位は「清掃」、次いで「事務」「軽作業」と続いており、マンションや施設の管理人、コールセンター、受付など座る時間のある仕事も注目されています。
警備・清掃・介護補助・物流軽作業・小売接客といった業種は、60代の採用に積極的な傾向があります。
これらの業種に共通するのは、人手不足が慢性的であること、体力よりも継続性・丁寧さが求められること、未経験から始めやすいことの三点です。
一方、IT・金融・マスコミなど高度な専門知識やデジタルスキルが求められる業種では、60代の採用ハードルが高くなりやすい傾向があります。
2026年現在、シニア採用が増えている背景
総務省「労働力調査」によると、65歳以上の就業者数は931万人に達し、20年連続で増加しています。65〜69歳の就業率は53.5%となっており、60代が労働市場で存在感を高めています。
2025年4月からは高年齢者雇用安定法の改正により、すべての企業で希望者全員を対象とした65歳までの継続雇用制度の導入が完全義務化されました。
少子高齢化による労働力不足を背景に、シニア人材を「戦力」として積極的に活用しようとする企業が着実に増えています。
この流れは、外部での再就職を希望する60代にとってもプラスに働いています。
60代におすすめの求人・仕事10選
以下の10職種は、体力・スキル・採用されやすさのバランスで60代に向いているものを選んでいます。
「自分にできそうか」という視点で読んでみてください。
| 職種 | 体力負担 | 未経験 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1. 施設警備員 | 中 | ◎ | シフト制・座り番あり |
| 2. 軽作業・ピッキング | 中〜低 | ◎ | 短時間OKが多い |
| 3. 清掃スタッフ | 低〜中 | ◎ | 早朝・短時間が多い |
| 4. 介護補助・生活支援員 | 中 | ○ | 研修あり・安定需要 |
| 5. 送迎・配送ドライバー | 低 | ○ | 免許あれば有利 |
| 6. マンション管理人 | 低 | ◎ | 住み込み型もあり |
| 7. 調理補助・食品製造 | 低〜中 | ◎ | 短時間・午前中のみ多い |
| 8. 農業・農業法人スタッフ | 中〜高 | ◎ | 自然環境・季節労働 |
| 9. 事務・データ入力 | 低 | △ | 経験者優遇が多い |
| 10. 販売・接客スタッフ | 低〜中 | ○ | スーパー・ホームセンター系 |
1. 警備員(施設警備)
施設警備は60代の採用が多い職種のひとつです。
体力的な負荷は施設の広さや巡回頻度によって異なりますが、座り番(受付警備)中心の仕事であれば体への負担が小さく、シニアの採用に積極的な現場が多くあります。
警備業法に基づく「警備員指導教育責任者」資格が求められる場合もありますが、未経験でも研修を経て取得できます。
2. 軽作業・ピッキング(物流倉庫)
物流倉庫でのピッキングや仕分け・梱包作業は、未経験から始められる代表的な職種です。
重量物を扱う現場は体への負担が大きいため、応募前に商品の重量や立ち仕事の時間を確認することが重要です。
短時間・週3日などの勤務形態も多く、体力に応じて調整しやすい点が60代に向いています。
3. 清掃スタッフ
シニアが検索する職種の1位「清掃」は、早朝や短時間勤務の求人が多く、他の仕事との組み合わせもしやすい職種です。
オフィスビル、商業施設、マンション共用部などの清掃は、特別なスキルがなくても始めやすく、60代のシニアが多く活躍している分野です。
体力的な負荷は軽めで、コツコツと丁寧に取り組める人が評価されます。
4. 介護補助・生活支援員
介護士の資格がなくても、食事の配膳・見守り・居室の掃除補助など、日常生活を支えるサポート役として働ける求人が増えています。
人手不足が深刻な介護業界は60代の採用に前向きで、入職後の研修制度が整っている事業所も多くあります。
「誰かの役に立つ実感」を得やすい職種として、定年後の生きがいを求める方にも向いています。
5. ドライバー(送迎・配送)
普通自動車免許があれば応募できる、送迎ドライバーや軽貨物配送は60代に人気の職種です。
デイサービスの送迎、スーパーの宅配サービス、小規模な配送業務など、長距離・重量物を伴わない求人を中心に探すと体への負担を抑えられます。
6. マンション管理人・コンシェルジュ
マンション管理人は、住人対応・共用部の清掃確認・宅配物の受け取りが主な業務で、体力的な負荷が比較的小さい職種です。
住み込み型の求人では家賃相当分が支給されるケースもあり、老後の生活コストを下げながら働く手段として注目されています。
礼儀正しい対応ができる60代のシニアは採用現場で評価されやすい傾向があります。
7. 調理補助・食品製造
病院・学校・社員食堂などの調理補助は、料理の経験がある方なら比較的なじみやすい職種です。
「調理」ではなく「補助」に特化した求人は未経験でも応募でき、午前中の短時間勤務が多い点も60代に向いています。
食品製造ラインへの配属は立ち仕事が多いため、応募前に勤務時間と作業内容を確認しておくことをおすすめします。
8. 農業・農業法人スタッフ
体を動かすことが苦にならない方には、農業法人でのスタッフ求人も選択肢です。
収穫・選果・梱包など未経験から始められる作業が中心で、自然の中で働くことを生きがいにしたい方に向いています。
ただし季節労働・屋外作業・体力負担が大きい場合もあるため、体力や健康状態に合わせて検討してください。
9. 事務・データ入力(経験者優遇)
元々事務職だった方には、Word・Excelなどの基本スキルを活かせる事務・データ入力系の求人が適しています。
ただし未経験の方には競争が厳しい傾向があり、「経験者優遇」という条件が多いことを念頭に置いておきましょう。
スキルアップを希望するなら、ハロートレーニング(無料の職業訓練)でPCスキルを習得する方法もあります。
10. 販売・接客スタッフ(スーパー・ホームセンター)
スーパーやホームセンターでの販売・レジ・品出し業務は、60代スタッフが多く活躍している職場のひとつです。
立ち仕事が中心になりますが、勤務時間・シフトの自由度が高く、体力に合わせて働きやすい環境です。
接客経験がなくても採用されやすく、地元密着型の職場が多いため通勤負担も少ない点が魅力といえるでしょう。
求人の探し方|ハローワーク以外の選択肢
求人の探し方を知っているかどうかで、採用につながる速さが大きく変わります。
ハローワーク一択ではなく、複数の経路を組み合わせることをおすすめします。
ハローワークのシニア向けサービスの使い方
全国約300ヶ所のハローワークに「生涯現役支援窓口」が設置されており、概ね60歳以上の求職者を対象に、これまでの就労経験や年金受給状況などを踏まえた個別の職業相談・職業紹介を実施しています。
専任のナビゲーターによる予約制の個別支援や、職場見学・面接会・セミナーの案内なども受けられます。
利用はすべて無料で、在職中の方でも相談可能です。
厚生労働省「生涯現役支援窓口」から最寄りの窓口を確認できます。
シニア特化転職サービスの特徴と使い分け
60代の求人探しにシニア特化型のサービスを活用すると、一般の転職サイトより採用につながりやすいと言われています。
シニア向け求人に特化したサービスでは、60代以上を積極採用している企業の求人が集まっているため、応募の無駄打ちが減ります。
まず無料登録だけでも試してみることで、自分のスキルや希望条件に合う求人の全体像がつかめます。
求人媒体ごとのメリット・デメリット比較
| 媒体 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| ハローワーク | 無料・地元密着求人が豊富・個別相談あり | 掲載求人の質にばらつき |
| シニア特化サービス | 60代歓迎求人が集中・スカウト機能あり | 大都市圏に求人が偏る場合も |
| 地元フリーペーパー | 近隣の中小企業求人が多い | 情報の鮮度・更新頻度が低い |
| シルバー人材センター | 短期・単発仕事が多い・会員制で安心 | 長期雇用より単発が中心 |
60代が採用されるための3つのポイント
求人に応募しても採用につながらないと感じている方には、アピールの方向性を見直すことが有効です。
60代の強みは「スキルの高さ」より「働き方の安定性」にあります。
「即戦力」より「継続勤務」をアピールする
60代の採用担当者がもっとも懸念するのは「すぐに辞めてしまわないか」という点です。
「体力的に無理な場合は相談できますか」と確認するより、「週3日・午前中の勤務で長く続けたい」という継続意欲を明確に伝える方が、採用につながりやすくなります。
「長く、安定して働ける人材」という印象を与えることが、60代の採用面接での最大の武器です。
給与への期待値を柔軟に持つことの重要性
現役時代と同じ給与水準を求めると、応募できる求人の幅が大幅に狭まります。
「収入の補完」か「生活費の一部」という位置づけで働く場合、パートや短時間勤務での応募が採用の近道になります。
給与より「無理なく続けられること」「社会とのつながりを持つこと」を優先する姿勢が、採用担当者にも好印象を与えやすいものです。
面接での「60代ならでは」の強みの伝え方
「若い人と同じことはできませんが」という逃げの表現ではなく、「長年の経験から○○が得意です」「丁寧さ・正確さには自信があります」という前向きな表現で強みを伝えましょう。
健康状態・通勤方法・希望勤務日数を事前に整理しておくことで、面接でのコミュニケーションがスムーズになります。
「長く安定して働ける」「教わったことを誠実に実行できる」というメッセージは、60代が採用される現場で特に響くアピールポイントといえます。
よくある質問
Q. 60代で未経験の仕事に応募できますか?
できます。
警備・清掃・軽作業・調理補助・マンション管理人などは、未経験歓迎の求人が多い職種です。
ただし「未経験でも採用されやすい職種を選ぶ」ことが大前提で、すべての職種で未経験が歓迎されるわけではありません。
ハローワークの生涯現役支援窓口に相談すると、自分のスキルに合った職種を一緒に整理してもらえます。
Q. 正社員とパートはどちらを選ぶべきですか?
体力や生活スタイルによって異なります。
「社会保険に加入したい」「安定収入がほしい」という場合は正社員・フルタイムが向いています。
「家族の都合に合わせたい」「体力に不安がある」という場合は、短時間パートから始めて様子を見る方法が現実的です。
60代の再就職では、最初から正社員にこだわらず、まず職場環境に慣れることを優先する考え方が長続きにつながります。
Q. 再就職と再雇用はどう違いますか?
再雇用は定年退職後に同じ会社に嘱託・契約社員として戻る働き方で、再就職は別の会社に新たに採用される働き方です。
この記事で扱っているのは後者の「外部への再就職」です。
再雇用制度の詳細については別記事で解説しています。
Q. 転職サービスは無料で使えますか?
求職者側の利用は基本的に無料です。
求人サービスは採用企業側から広告費や成功報酬を受け取るビジネスモデルのため、求職者が費用を負担することはありません。
ただし登録後に営業的な連絡が来る場合があるため、希望条件を明確に設定したうえで登録することをおすすめします。
Q. ハローワークでシニア向け相談はできますか?
できます。
全国約300ヶ所のハローワークに設置されている「生涯現役支援窓口」では、概ね60歳以上の求職者を対象に、一人ひとりのニーズに寄り添った職業相談・職業紹介を実施しています。
在職中の方も利用可能で、予約制の個別支援や面接会・セミナーの案内も受けられます。
まず最寄りの窓口に足を運んで、自分の希望を相談することから始めてみてください。
まとめ
60代の求人探しは、職種を絞ることが採用率を上げる最大のポイントです。
警備・清掃・軽作業・介護補助・マンション管理人など、シニアの採用に積極的な職種から応募することで、採用につながる確率が大きく変わります。
ハローワークの生涯現役支援窓口とシニア特化型の転職サービスを組み合わせて活用し、「継続勤務できる人材」という強みを面接でしっかり伝えることが、60代の再就職を成功させる鍵です。
定年後の働き方の選択肢全体については定年後の仕事もあわせてご参照ください。

