60歳を迎えて「もう一度働きたい」と考える女性は、年々確実に増えています。
しかし、男性とは異なる事情や強みを持つ女性の再就職には、知っておくべきポイントがいくつかあります。
パートでも正社員でも、自分に合った働き方を見つけることができれば、60歳からの仕事は決して難しいものではありません。
この記事では、60歳の女性が再就職するための具体的な方法・向いている仕事・注意点を詳しく解説します。
男性の場合や働き方全体の選択肢(再雇用・起業・フリーランスなど)については60歳からの再就職完全ガイド|求人の探し方・ハローワーク活用・面接対策をご覧ください。
また、定年後の働き方の選択肢全体については定年後の仕事の選び方もあわせてご参照ください。
60歳の女性が再就職する現実|求人数・年収・採用の傾向
60歳の女性が仕事を探すとき、まず押さえておきたいのは現在の市場の実情です。
公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、60〜64歳の就業率は2024年時点で74.3%に達しており、6割以上の女性が何らかの形で働き続けています。
高齢者雇用をめぐる法整備が進んだことで、シニア女性を積極的に採用する企業も増えており、仕事の選択肢は確実に広がっています。
60歳の女性が再就職する現実と有利な点
内閣府「令和4年版高齢社会白書」によると、60〜64歳の女性が非正規雇用で働く割合は74.7%と、男性の45.3%を大きく上回ります。
ただし、これは必ずしも不利な状況を意味するわけではありません。
パートや短時間勤務という柔軟な働き方を選べることは、健康管理や家庭との両立を重視する女性にとって大きなメリットになります。
男性との違いでいうと、60歳の女性には採用の場で有利に働く点がいくつかあります。
介護・保育・医療補助・受付・販売接客など、女性のコミュニケーション能力や細やかな気配りが評価される職種では、年齢よりも人柄と経験が重視されます。
また、子育てや家事を通じて培った段取り力・マルチタスク対応力は、採用担当者から高く評価されることが多いという現場の声もあります。
60歳の女性の再就職後の年収はどのくらい?
国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、女性の60〜64歳の平均年収は約278万円となっています。
55〜59歳の329万円と比較すると一定の減少がありますが、これはパートや短時間勤務が含まれる数字です。
フルタイム勤務であれば300万円前後、週3〜4日のパートであれば年収100万〜180万円程度が現実的な目安となります。
大切なのは「年金と合わせた合計額」で家計を設計することです。
年金月額と想定給与を足し合わせて生活設計を立てておくと、就職先の条件設定が現実的にできます。
60歳の女性に向いている仕事・業種
60歳の女性が再就職を成功させるために重要なのは、自分の経験・体力・ライフスタイルと市場のニーズが重なる職種を選ぶことです。
正社員にこだわらず、パートやアルバイトという選択肢も含めて考えることで、求人の幅は大きく広がります。
パート・アルバイトから始める選択肢
60歳の女性の再就職で最も多いのが、パートやアルバイトからスタートするアプローチです。
スーパーやドラッグストアのレジ・品出し、飲食店のホール接客、病院の受付・案内、保育補助、高齢者施設でのレクリエーションサポートなど、生活に密着した職種は慢性的な人手不足が続いており、60代女性の採用に積極的な職場が多くあります。
週2〜3日・1日4〜5時間といった短時間勤務の求人も豊富で、体力やライフスタイルに合わせた働き方を選びやすいのが特徴です。
「まず体を慣らしながら始めたい」「無理のない範囲でしっかり稼ぎたい」というどちらのニーズにも対応しやすい雇用形態です。
看護師・保育士など専門職を持つ女性の場合
看護師や保育士などの専門資格を持つ女性にとって、60歳からの再就職は選択肢が特に豊富です。
厚生労働省の調査によると、60歳以上で就業を続ける看護師の割合は年々増加しており、2022年時点で就業看護職員に占める60歳以上の割合は約12.8%に達しています(日本看護協会「プラチナナース活躍促進サポートBOOK」2024年版)。
夜勤なし・週3日程度のパート勤務・訪問看護・クリニック勤務など、体力に配慮した求人が多く、専門資格を持つ女性は年齢を問わず歓迎される職場が数多くあります。
看護師資格には年齢制限がないため、免許がある限り働き続けることができるのも大きな強みです。
看護師として60歳から再就職を検討されている方は定年後も看護師として働き続けるには?制度・働き方・収入を徹底解説もあわせてご参照ください。
薬剤師の方向けにはこちら。
定年後も薬剤師として働き続けるには?制度・働き方・収入を徹底解説
保育士資格を持つ女性も同様に、保育補助や子育て支援センターのスタッフとして需要が高く、パート求人が豊富にあります。
未経験から始められる仕事
特別な資格や経験がなくても、60歳の女性が始めやすい職種はいくつかあります。
介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)を取得すると介護補助から本格的な介護職まで幅広い求人に応募でき、資格取得支援制度を設けている施設も多くあります。
また、事務補助・データ入力・電話応対などのオフィスワークは、基本的なパソコン操作ができれば未経験からでも採用されるケースがあります。
さらに、清掃スタッフ・施設管理補助・配達補助なども研修が充実しており、未経験でも安心して始められる環境が整っています。
「何から始めればいいかわからない」という方は、ハローワークで「シニア女性 未経験歓迎」で絞り込んだ求人を担当者と一緒に確認することをおすすめします。
女性向け転職サービスの選び方
60歳の女性が求人を探す際には、ハローワークだけでなく、女性向け・パート向け・シニア向けの民間転職サービスを組み合わせることで、自分に合った求人に効率よくたどり着けます。
どのサービスも登録・利用は無料です。
| 比較項目 | ハローワーク | 女性・パート向け民間サービス | シニア専門サービス |
|---|---|---|---|
| 料金 | 無料 | 無料 | 無料 |
| 求人の特徴 | 地域密着・幅広い | パート・時短中心・女性向け豊富 | 55歳以上特化・条件確認済み |
| サポート | 窓口相談 | WEBで検索・応募が手軽 | 専任エージェントが対応 |
| 向いている人 | 地元密着で探したい | パートや短時間勤務を探したい | 正社員・嘱託を探したい |
しゅふJOBやパート求人専門のサービスは、主婦・シニア女性向けの求人を多数保有しており、勤務日数・時間帯・通勤距離での絞り込みが使いやすいと好評です。
シニア専門のサービスとしてはマイナビシニアやシニアジョブなどが代表的で、55歳以上を歓迎する求人に特化しているため、年齢を理由にした門前払いがほとんどなく、専任エージェントのサポートを受けながら転職活動を進められます。
60歳女性の面接で気をつけること
書類選考を通過した後の面接では、60歳女性ならではの気をつけるべきポイントがいくつかあります。
採用担当者が抱きやすい懸念を事前に把握して対策しておくことが、内定への近道になります。
採用担当者が懸念するポイントと対策
採用担当者が60歳の女性応募者に対して懸念するのは、主に「体力面の持続性」「デジタルツールへの対応力」「現場への柔軟な適応力」の3点です。
体力面については、「定期的にウォーキングや軽い運動を続けており、直近の健康診断でも問題はありませんでした」といった感じに、具体的な健康管理の取り組みを伝えることが効果的です。
デジタルツールへの不安は、「スマートフォンやメールは日常的に使用しており、基本的なPCスキルもあります」「新しい操作はすぐに覚えられます」と前向きに伝えることで払拭できます。
適応力については、「与えられた役割でしっかり貢献するスタンスです」という姿勢を一貫して示すことが採用確率を高めます。
よく聞かれる質問の一つに「何年くらい働けますか?」があります。
「体調管理に気をつけながら、少なくとも5年は貢献したいと考えています」のように、具体的な年数と意欲を合わせて伝えると採用担当者は安心します。
一方で、過去の職場での立場や役職を繰り返し強調することは逆効果になります。
現在の自分が何を提供できるかを具体的に伝えることに集中してください。
また、給与や休日数へのこだわりを最初から強く前面に出すことも避けた方が無難です。
条件面の交渉は内定後に行うのが基本です。
再就職と年金・扶養の兼ね合い
60歳の女性が再就職を考えるとき、年金や扶養の仕組みを正しく理解しておくことが大切です。
知識がないまま働き始めると、想定外の収入減や保険料の負担増につながることがあります。
働き方で変わる年金への影響
老齢厚生年金を受け取りながら働く場合、給与と年金の合計額が一定額を超えると年金の一部が支給停止される「在職老齢年金」の仕組みが適用されます。
2025年度の停止ラインは月51万円超となっており、パートや短時間勤務であれば大半の方はこのラインを超えません。
なお、老齢基礎年金(国民年金部分)は給与の額にかかわらず全額受け取れます。
2026年4月からはこの基準が月65万円超に大幅引き上げられるため、より多くの女性が年金を気にせず働けるようになります。
詳しくは在職老齢年金の仕組みを以下の記事でご確認いただけます。

扶養に入ったまま働く場合の注意点
配偶者の扶養に入っている場合、働き方によって健康保険・厚生年金の扱いが変わります。
年収が130万円未満であれば、引き続き配偶者の社会保険の扶養に入り続けることができます。
ただし、社会保険の適用拡大(2022年10月〜)により、従業員51人以上の企業で週20時間以上・月額賃金8.8万円以上・2ヶ月超の雇用見込みがある場合は、自分で社会保険に加入する必要があります。
扶養の範囲内で働くことを希望するか、社会保険に加入して将来の年金額を増やすかは、家計全体のプランによって異なります。
どちらが有利かは個人の状況によって異なるため、不明な点はお近くの年金事務所や社会保険労務士にご相談されることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 60歳の女性は正社員での再就職はできますか?
不可能ではありませんが、パートや嘱託・契約社員が中心になるのが現実です。
看護師・保育士など専門資格を持つ方や、特定の業界で豊富な経験を持つ方であれば正社員採用も十分あり得ます。
「正社員にこだわらず、まずパートで実績をつくってから登用を目指す」というアプローチも有効です。
Q2. パートと正社員、どちらから始めるのがいいですか?
体力や生活リズムをまず確認したい方には、パートから始めることをおすすめします。
週2〜3日の短時間勤務で職場環境に慣れてから、必要に応じて勤務日数を増やす方法が無理なく長続きしやすいという声が多く聞かれます。
収入を優先したい場合や専門職の場合は、最初から正社員や嘱託での求人を探すことも現実的です。
Q3. 履歴書の職歴欄に空白期間があります。どう説明すればいいですか?
子育て・家族の介護・本人の体調管理など、空白期間に正当な理由がある場合は正直に伝えることが最善です。
「その間も家事・育児を通じて段取り力やコミュニケーション能力を維持してきた」というように、空白期間で培った力を前向きにアピールする言い方が採用担当者に好印象を与えます。
Q4. 扶養の範囲内で働きたいのですが、いくらまでなら大丈夫ですか?
配偶者の社会保険の扶養に入り続けるには、年収130万円未満が目安です。
ただし、勤務先の規模(従業員51人以上の企業)や週の勤務時間によっては、この基準に関わらず社会保険への加入が必要になる場合があります。
働き始める前に、職場の担当者または社会保険労務士に確認することをおすすめします。
Q5. 看護師の資格があれば60歳以降も仕事は見つかりますか?
看護師資格には年齢制限がなく、60歳以降でも多くの職場で歓迎されます。
夜勤なし・パート勤務・訪問看護・クリニック勤務など、体力に配慮した求人が豊富です。
看護師専門の転職サービスに登録して、60歳以上歓迎の求人を専任エージェントに探してもらうのが最も効率的な方法です。
Q6. 転職サービスに登録したら、すぐに就職しなければなりませんか?
そのような強制はありません。
「まず情報収集したい」「どんな求人があるか知りたい」という段階からの利用も歓迎されています。
担当エージェントとゆっくり相談しながら、自分のペースで求人を探すことができます。
まとめ
60歳の女性が再就職を成功させるためには、正社員にこだわらず、自分の体力・ライフスタイル・経験に合った働き方を柔軟に選ぶことが大切です。
介護・保育・医療・受付・販売接客など、60歳の女性の強みが活きる職種は数多くあります。
看護師や保育士などの専門資格を持つ方は特に有利で、60代でも歓迎される求人が豊富にあります。
ハローワークと民間の女性向け・シニア向け転職サービスを組み合わせて活用することで、求人の選択肢は大きく広がります。
年金や扶養の仕組みも事前に整理しておくことで、損をしない働き方の設計ができます。
あなたのこれまでの経験と人柄を活かせる職場は、必ず見つかります。
焦らず自分のペースで、一歩ずつ踏み出してみてください。

