定年のない仕事一覧|60代・70代でも長く続けられる職種と働き方

「定年がなく、自分のペースで長く働き続けたい」。
そう考えている50〜60代の方は、決して少なくありません。

年金受給開始まで収入が必要という経済的な理由だけでなく、生きがいや社会参加を求めて仕事を続けたいと感じている方も増えています。
しかし、いざ「定年のない仕事」を探そうとすると、何を基準に選べばいいのか迷ってしまうことも多いでしょう。

この記事では、「定年のない仕事・働き方」の全体像を整理し、60代・70代でも長く続けやすい職種と働き方の選び方を具体的に解説します。

目次

「定年のない仕事」とはどういう意味か

そもそも「定年」とは、雇用主が就業規則などで定めた一定の年齢に達した時点で、雇用関係を終了させる制度のことです。
現在、日本では内閣府「令和6年版高齢社会白書」によると、従業員21人以上の企業の99.9%が65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施しており、70歳までの就業確保措置に取り組む企業も約30%に上っています。
ただし、65歳以降の雇用が保障されるかどうかは企業によって異なり、定年後の働き方は大きく3つのパターンに分かれます。

1つ目は、フリーランスや個人事業主・自営業など、そもそも雇用関係そのものがない働き方です。
雇用制度の外側にいるため、法律上の「定年」が存在しません。

2つ目は、企業の再雇用・嘱託・パートタイムなど、定年後も雇用が継続されやすいケースです。
制度上は「定年」があっても、延長雇用という形で長く働ける職場が増えています。

3つ目は、年齢不問で採用されやすい職種への転職・再就職です。
資格や経験が重視される分野では、60代・70代でも新たに職を得られる可能性があります。

この3つを区別して理解しておくと、自分の状況に合った選択肢を絞り込みやすくなります。

定年のない職種一覧

では、具体的にどのような職種が「定年のない仕事」に当てはまるのでしょうか。
代表的な5つのカテゴリを見ていきましょう。

士業・専門資格職

社会保険労務士(社労士)・行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)・税理士・司法書士などの士業は、独立開業すれば定年という概念がない働き方の代表格です。
特に社労士は、2023年の社会保険労務士白書によると登録者の平均年齢が56.04歳で、最年長登録者は101歳。
60代・70代でも現役として活躍している方が多く、年齢を問わず生涯働き続けられる職種といえます。

士業は体力的な負担が少なく、知識と経験が価値を持つため、年齢を重ねるほど信頼を得やすい面もあります。
ただし、試験合格から開業まで相応の準備期間が必要で、特に未経験から50代後半以降に目指す場合は、独立開業を前提に計画を立てることが現実的です。
資格の取得方法については、以下の記事をご覧ください。

医療・介護・福祉系

看護師・介護士・ケアマネジャー(介護支援専門員)などの医療・福祉系の職種は、慢性的な人手不足から年齢不問で求人が多く、長く働きやすい分野です。
総務省統計局の調査によると、2022年時点で高齢就業者(65歳以上)のうち「医療・福祉」分野で働く人は104万人にのぼり、10年前の約2.7倍に増加しています。

ケアマネジャーは介護保険の相談・調整業務が中心で、体力的な負担が比較的少ない点が特徴です。
既に資格を持っている方はもちろん、これから取得を目指す方にとっても、60代からのキャリアとして現実的な選択肢のひとつといえます。

看護師、薬剤師に関してはそれぞれ専門の記事をご覧ください。

農業・林業・漁業

農業・林業・漁業は、古くから年齢に関係なく働き続けられる代表的な分野です。
農業では基幹的農業従事者のうち65歳以上が約68%を占めており(農林水産省調査)、平均年齢も68歳を超えています。
自営農家であれば定年という概念は本来なく、体力の許す範囲で長く働けることが最大の強みです。

ただし、農業は天候リスクや体力的な負担も伴う仕事です。
定年後に新規参入する場合は、小規模からスタートするか、農業法人に雇用される形で経験を積むルートが現実的でしょう。

職人・技能系

大工・左官・造園・塗装などの職人仕事は、長年培った技術が価値を持ち続けるため、60代・70代でも活躍できる人が多い分野です。
技能職は即戦力の需要が高く、豊富な経験を持つシニア職人を歓迎する現場は少なくありません。

体力的な負担は職種によって異なりますが、造園の管理作業や内装施工の監督・指導業務など、重労働を避けながらスキルを活かせるポジションもあります。
自らの技術に自信があれば、独立して小規模な工事や修繕を請け負う形で長く続けることも可能です。

教育・講師系

家庭教師・学習塾講師・カルチャースクール講師・企業研修講師など、教育や指導に関わる仕事も定年のない職種の代表例です。
特に個人契約の家庭教師やフリーランスの講師業は、年齢制限がなく、自分のスケジュールに合わせて働けることが大きな魅力です。

長年の職務経験を活かした企業向け研修や、趣味・特技を活かしたカルチャー講師は、定年後のセカンドキャリアとして注目されています。
まずは副業や単発の講師依頼から始めることで、リスクを抑えながら新しいフィールドを試せます。

より詳しい資格情報は定年後におすすめの資格ランキングをご参考ください。

定年のない働き方(フリーランス・個人事業主)

職種だけでなく、働き方そのものを変えることで「定年のない仕事」を実現する方法もあります。
フリーランスや個人事業主として働くルートは、60代以降に選ぶ方が増えている現実的な選択肢です。

フリーランスとして働くとは

フリーランスとは、特定の雇用主に属さず、複数のクライアントと業務委託契約を結んで働くスタイルのことです。
会社員のような定年も年齢制限もなく、健康と意欲が続く限り働き続けられます。
内閣府の調査によると、9割以上の高齢者が「65歳以上まで働きたい」と答えており、フリーランスはその受け皿としても機能しています。

三菱総合研究所の調査では、フリーランス全体の約70%以上がミドル・シニア層で、60歳以上が約30%を占めるというデータもあります。
フリーランスは決して若者だけの働き方ではなく、むしろシニア層が中心となっているのが実態です。

個人事業主として開業するとは

個人事業主とは、法人を設立せずに自分一人で継続的な事業を営む形態のことです。
フリーランスとよく混同されますが、個人事業主は税務署への開業届を提出した法律上の概念で、フリーランスは働き方のスタイルを指します。
開業届の提出は無料で、特別な手続きや資格は必要ありません。

定年退職後に自分の専門知識やスキルをもとに開業するシニア起業も増えており、自分のペースで仕事を続けられる点が大きなメリットです。
ただし、雇用保険や厚生年金の社会保障から外れることになるため、健康保険や老後の資産計画についての事前準備が欠かせません。

60代からフリーランスを始める際の現実と注意点

フリーランス・個人事業主として働くことは自由度が高い反面、収入の安定が保障されない点は正直に受け止めておく必要があります。
案件を継続的に受注するためには、自ら営業活動を行い、クライアントとの人間関係を維持する努力が求められます。
確定申告などの経理業務も自己管理が必要で、会社員時代とは異なる手間が生じます。

また、2024年11月に施行されたフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)により、業務委託先からの不当な取引条件の押しつけに対して一定の保護が整いました。
定年後にフリーランスとして契約する際は、この法律の内容を把握しておくことも重要です。

「収入は多くなくていいから、長く働き続けたい」という方にとっては、年金と組み合わせながら細く長く仕事をするスタイルとして、フリーランスは有力な選択肢のひとつといえます。

フリーランスをお考えの方は、以下の記事がお役に立ちます。

長く続けやすい仕事を選ぶ3つの視点

定年のない仕事は種類が多く、どれを選ぶかで迷う方も多いでしょう。
職種や働き方を選ぶ際には、次の3つの視点を持つと整理しやすくなります。

体力的な負担が少ないか

長く続けるためには、体への負担が少ないかどうかが大前提です。
60代以降は体力の変化を実感しやすくなるため、重いものを運ぶ・長時間立ちっぱなし・屋外での重労働といった仕事は、続けることが難しくなる可能性があります。

デスクワーク中心の士業や講師業、軽作業のアシスタント業務などは、体への負担が比較的少なく、長期間続けやすい傾向があります。
「今は問題ない」という体力でも、5年・10年先を見越した判断が大切です。

これまでの経験・スキルを活かせるか

定年後の仕事選びで最も強みになるのは、現役時代に積み上げた経験とスキルです。
まったく新しい分野にゼロから挑戦することも可能ですが、習得に時間がかかる上、競争相手の多いフィールドで戦うことになります。

一方、自分が長年携わってきた業種・業務に近い仕事であれば、即戦力として評価されやすく、スムーズにキャリアをつなぐことができます。
「自分にはどんな経験があるか」を棚卸しすることが、仕事選びの第一歩です。

収入よりも「続けられること」を優先できるか

現役時代と同じ収入水準を定年後の仕事に求めると、選択肢は大きく絞られてしまいます。
「高収入より長続き」という視点に切り替えることで、働ける仕事の幅が一気に広がります。

年金収入を土台にしながら、仕事の収入は「生活の補完」や「生きがいのための手段」と位置づけることで、無理なく続けられる仕事を選びやすくなります。
働く目的を改めて整理したい方には、定年後の仕事の選び方の記事もあわせてご覧ください。

定年のない仕事に就くための最初の一歩

「どんな仕事を選ぶか」が決まったら、次は行動に移すための入口を探すことが重要です。
最初の一歩として取り組みやすい方法を3つ紹介します。

まず、資格取得を目指す方法があります。
士業やケアマネジャーなど資格が必要な職種の場合、定年前から勉強を始めておくことが理想的です。
50代のうちに合格しておけば、定年後すぐに活動を始める準備が整います。
定年後におすすめの資格ランキングでは、難易度や取得後の活かし方を詳しく解説しています。

次に、求人サービスやシニア向けの就職支援を活用する方法があります。
年齢不問の求人を専門に扱うサービスも増えており、自分に合った仕事を見つけるひとつの手段です。
おすすめ求人サービスの比較・選び方を参考にしてください。

そして、副業や小さな請け負いからスタートする方法もあります。
フリーランスや講師業を目指す方は、在職中から副業として実績を積むことで、定年後の収入基盤を事前に築くことができます。
リスクを最小限に抑えながらセカンドキャリアの準備を進めたい方には、この段階的なアプローチが有効です。
60歳からの具体的な再就職の進め方については、60歳からの再就職ガイドで詳しく解説しています。

よくある質問

定年のない仕事は資格がないとできませんか?

資格がなくても取り組める職種は多くあります。
農業・農業補助、家庭教師、職人の補助・見習い、フリーランスのライターやコンサルタントなどは、必ずしも国家資格が必要ではありません。
ただし、社労士・行政書士・ケアマネジャーなど一部の職種では資格が必須となります。

60代から始めやすい定年のない仕事はどれですか?

経験・スキルが活かせる仕事が最も始めやすいといえます。
たとえば、会社員時代に人事・労務に携わっていた方は社労士や企業研修講師、教育に関わっていた方は講師・家庭教師、建設・不動産関係の経験者は宅建士取得後の仕事など、過去のキャリアとのつながりを意識すると選択肢が見つかりやすくなります。

フリーランスと個人事業主の違いは何ですか?

フリーランスは「雇われずに複数のクライアントと契約して働くスタイル」を指す言葉であり、個人事業主は「法人を設立せずに個人で事業を営む法律上の区分」です。
フリーランスとして働く場合、税務署に開業届を提出すれば個人事業主として認定されます。
実態としてはほぼ同義で使われることが多いですが、法的には個人事業主という区分が正式な位置づけです。

定年のない仕事は収入が低いですか?

一概に低いとはいえません。
士業として独立開業した場合や、企業研修講師・コンサルタントとして活躍する場合は、会社員時代と同等以上の収入を得ている方もいます。
一方、農業補助や家庭教師など、年収が低い職種も多くあります。
定年後の仕事に求める収入水準を現役時代と同じに設定すると選択肢が限られるため、年金との組み合わせを前提に考えることをおすすめします。

今の会社で定年後も働き続けることはできますか?

高年齢者雇用安定法により、65歳までの雇用確保措置が企業に義務づけられています。
また、2021年4月からは70歳までの就業確保も企業の努力義務となりました。
多くの企業が再雇用・嘱託・パートなどの形で定年後の継続雇用を実施しており、希望すれば65歳までは同じ会社で働き続けられるケースが一般的です。
ただし、給与や職務内容が変わる場合も多いため、事前に会社の制度を確認しておきましょう。

まとめ

「定年のない仕事」とは、雇われる働き方の枠を超えた先にある、自分が働くかどうかを決められる状態のことです。
士業・農業・職人・教育・医療福祉といった職種や、フリーランス・個人事業主という働き方を選ぶことで、年齢に縛られずに活動を続けることができます。
大切なのは、高収入を目指すことよりも、「続けられること」「体が対応できること」「自分の経験が活きること」の3つを軸に仕事を選ぶことです。
定年後の仕事についてもっと幅広く考えたい方は、ぜひ定年後の仕事の選び方もご覧ください。

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