警備員の仕事内容とは?種類・給与・定年後に選ばれる理由を解説

定年後の仕事を調べていると、警備員という選択肢が目に入った方も多いのではないでしょうか。
求人サイトには「未経験OK」「年齢不問」の文字が並び、50代・60代の採用実績も豊富です。

ただ、実際にどんな仕事をするのか、きついのか楽なのか、いくら稼げるのかがよくわからないまま応募するのは不安でしょう。
この記事では、警備員の仕事内容・種類・給与の実態を整理したうえで、定年後に警備員を選ぶ人が増えている理由を解説します。

目次

警備員とはどんな仕事か

警備員とは、警備業法に基づいて民間の警備業者が提供する、人や施設・財物に対する危害の発生を警戒・防止する業務に従事する人のことです。
国家資格を持つ公務員である警察官とは根本的に異なり、警備員には逮捕権がありません。
あくまでも「事故や犯罪を未然に防ぐ」「異常があれば速やかに通報・対応する」ことが本来の役割です。
「警備員なら不審者を取り押さえられる」というのは誤解であり、職務はあくまで警戒と防止に限られています。

では、なぜ今これほど警備員という仕事が社会に必要とされているのでしょうか。
背景には高齢化の進行と慢性的な人手不足があります。
工事現場・商業施設・病院・マンションなど、安全を確保すべき場所は増える一方で、若い担い手が集まりにくい状況が続いています。

警察庁「令和6年における警備業の概況」によれば、全国の警備員数は令和6年末時点で約58万7,848人にのぼります。
就業者の年齢層を見ると、60歳以上が全体の47.0%を占めており、70歳以上だけでも20.9%に達しています。
警備業がシニア世代を主力とした数少ない産業であることを示す数字です。

警備員という仕事は、派手さや高度な専門知識とは縁が薄いかもしれません。
しかし施設の安全を守り、来場者を安心して送り出すその積み重ねが、社会インフラを静かに支えています。

警備員の仕事の種類(4種類)

警備業法では、警備業務を1号から4号の4区分に分類しています。
それぞれ業務の性格が異なり、体力的な負荷やキャリアパスにも違いがあります。
定年後に警備員を目指す方にとっては、どの区分が自分に合っているかを把握することが大切です。

1号業務(施設警備)は、ビル・商業施設・病院・学校・マンションなどの施設内で行う警備で、警備員全体の中でも最も就業人数が多い業務区分です。
主な仕事は、施設内の巡回・受付での来訪者確認・防犯カメラのモニター監視・緊急時の初期対応などです。
立ちっぱなしの時間が長い勤務もありますが、屋内が基本のため天候に左右されにくく、体力的な負荷は2号業務よりも抑えめです。
定年後に警備員を選ぶ方の多くが、まずこの1号業務から始めます。
24時間体制の施設では夜勤や仮眠を含む「24時間勤務」の形態も一般的で、翌日が明け休みになるシフトを採用している企業も少なくありません。

2号業務(交通誘導・雑踏警備)は、工事現場や道路工事の現場で車両・歩行者を誘導したり、コンサート会場・スポーツイベントなどの雑踏で来場者の安全を確保したりする業務です。
屋外の立ち仕事が中心となるため、夏の炎天下や冬の寒風にさらされることもあり、体力的な要求度は1号業務より高い傾向があります。
一方で、2号業務の求人は全国的に非常に多く、シフトの融通が利きやすいことから「週2〜3日から働きたい」というニーズにも応えやすいといえます。
定年後でも体を動かし続けたい方には向いている業務区分です。

3号業務(貴重品輸送警備)は、現金輸送車での輸送警備や美術品・貴重品の運搬時の警備を指します。
一般の人には馴染みが薄い業務ですが、日本経済の物流を陰で支える重要な役割を担っています。
採用にあたっては身元調査が厳格で、運転免許や体力も求められるため、他の業務と比べて採用要件がやや厳しめです。
定年後の新規参入としてはハードルが高めといえるでしょう。

4号業務(身辺警備)は、いわゆるボディーガードとして人の身辺を守る業務です。
政治家・経営者・著名人などの護衛が主な対象で、専門的な護身訓練や状況判断能力が求められます。
4区分の中では最も特殊で、一般的な求人として目にすることは少ない業務区分です。

定年後に現実的な選択肢となるのは、1号業務か2号業務のどちらかになることがほとんどです。
体を動かすことに不安がある方は施設警備(1号)から始め、体力に自信がありフットワークよく働きたい方は交通誘導(2号)を検討するという選び方が、現場の実態に即しています。

警備員の給与・収入の実態

「警備員の給与はどれくらいか」は、定年後に転職を考える上で最も気になるポイントのひとつでしょう。
雇用形態・勤務地・業務内容・夜勤の有無によって収入は大きく変わるため、一概には言えませんが、公的データをもとに目安を整理します。

厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、警備員(男女計)のきまって支給する現金給与額の平均は月約27万9,800円とされています。
これは正規・非正規を含めた一般労働者ベースの数字であり、夜勤手当や残業代などは含まれていません。
夜間の仮眠を含む24時間勤務の場合は深夜割増賃金が加算されるため、実際の手取りはこれよりも上振れするケースがあります。

業務区分別の目安としては、施設警備(1号)で月22〜28万円程度、交通誘導(2号)で月25〜32万円程度が一般的な相場感です。
ただしこれはあくまで目安であり、会社の規模・勤務地・雇用形態によって差が生じます。

正社員・契約社員・アルバイトの違いも収入に直結します。
正社員であれば賞与や各種手当が加わるため年収は相対的に高くなりますが、アルバイト・パートの場合は時間給での計算となります。
定年後の再雇用・嘱託社員として警備会社に勤める場合は、正社員と比べて給与水準が下がることも多く、月収18〜22万円前後になるケースも珍しくありません。

「現役時代と比べると収入は下がる」という現実は正直に受け止める必要があります。
ただ年金と組み合わせることで生活の底上げができ、「完全にリタイアするよりも社会とのつながりを持ちながら収入も得たい」という定年後のニーズには十分応えられる水準といえるでしょう。

定年後・50代から警備員を選ぶ人が増えている理由

なぜ警備員は定年後の仕事として選ばれやすいのでしょうか。
その理由は、単に「求人が多いから」だけではありません。
定年後という人生ステージと、警備という仕事の特性が、意外なほどうまく噛み合っています。

まず挙げられるのが、「未経験・無資格でも始められる」という間口の広さです。
警備業法では、新たに警備業務に就く人には20時間以上の新任教育を受けることが義務づけられており、業務に必要な基礎知識や安全への心構えは、入社後に会社が責任を持って教えてくれます。
前職がどんな仕事であれ、警備業の経験がなくても問題ありません。
「難しい試験に合格しないと採用されない」という壁がないことは、精神的なハードルを大きく下げてくれます。

次に、年齢不問の求人が多い点も大きな強みです。
前述のとおり、警察庁「令和6年における警備業の概況」では60歳以上が全警備員の47.0%を占めています。
「60代でも70代でも実際に働いている人がたくさんいる」という事実は、応募を迷っている50代・60代の方にとって大きな安心材料になるはずです。

勤務シフトの柔軟性も見逃せません。
週2〜3日から勤務できる求人も多く、体調や家庭の都合に合わせてペースを調整しやすい環境が整っています。
「毎日フルタイムで働く体力には自信がない」という方でも、無理なく続けやすい業種といえます。

また、警備の仕事は体を動かし続けることが求められます。
歩く・立つ・巡回するという動作が日常的にあるため、適度な運動習慣が自然と身に付きます。
定年後に「家でじっとしていると体が鈍る」と感じる方には、健康維持の面でもプラスに働きやすいでしょう。

さらに重要なのが、「社会とのつながりを保てる」という点です。
施設に訪れる人に声をかけ、挨拶を交わし、安全を守る存在として認識されることが、生きがいにつながる方も多いでしょう。

「前職のスキルや資格を問われない」という点も、心理的なハードルを下げています。
警備の仕事で重視されるのは責任感・誠実さ・規則を守る姿勢であり、これらは長いキャリアの中で培ってきたものです。
経験豊富なシニア層が「素直に向き合える」仕事だからこそ、定年後の選択肢として選ばれ続けているといえます。
定年のない仕事を広く探している方は、定年のない仕事一覧もあわせてご参照ください。

警備員に向いている人・向いていない人

どんな仕事にも向き・不向きはあります。
警備員という仕事の実態を正直に伝えるために、向いている人と向いていない人の両方を紹介します。

向いている人の代表的な特徴として、まず「几帳面で責任感が強い」という気質が挙げられます。
巡回の手順を決めたとおりにこなす、記録をきちんと残す、不審な点を見逃さない——こうした丁寧さが求められる場面は多く、細かいことに気がつく性格の人はそれだけで大きな強みになります。

「人と話すことに抵抗がない」という点も重要です。
施設警備では来訪者への対応・案内・声かけが業務に含まれることが多く、受付に近い役割を担う場面もあります。
コミュニケーションを苦にしない方は現場からも信頼されやすいでしょう。

「体を動かすことが苦でない」「規則正しい生活リズムを好む」という方にも適性があります。
シフト制が基本の職種ですが、出勤日・退勤時間が決まっているため、生活リズムを整えやすいという利点もあります。

一方で、真夏の屋外での交通誘導など環境的に厳しい業務は体力消耗が大きく、持病がある方には負担になる場合もあります。
また、単独での巡回業務が続く時間帯には孤独感を覚えることもあるでしょう。
自分の体力や体調と正直に向き合い、業務内容をよく確認してから応募することが大切です。

まとめ

警備員は、警備業法に基づいて施設・人・財物の安全を守る民間の仕事です。
4つの業務区分があり、定年後の新規参入として特に現実的なのは施設警備(1号)と交通誘導(2号)の2つです。
給与の目安は月22〜32万円程度(雇用形態・会社・地域によって異なります)で、年金と合わせることで定年後の生活を安定させる選択肢として機能します。

未経験でも法定の新任教育を受ければスタートできること、60代・70代の就業者が業界全体の大きな割合を占めていること、シフトの柔軟性が高いこと——これらの条件が重なり、警備員は定年後の再就職先として選ばれ続けています。

警備員として働く際、資格を取得しておくと採用や昇給で有利になるケースも少なくありません。
どんな資格があるか、どう取ればいいかは、次の記事でまとめています。

警備員の資格一覧|種類・取得方法・定年後から始める手順

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