「持ち家があるから老後の住居費は心配しなくていい」と考えている方は少なくありません。 たしかに家賃を払わなくて済む持ち家には、老後生活において大きなメリットがあります。 しかし、持ち家であっても維持にかかる費用はゼロではなく、築年数が経つほど修繕費や改修費が重くのしかかってくる現実があります。 この記事では、2024年の最新統計データをもとに、持ち家世帯の老後生活費の実態を整理するとともに、見落としがちな維持費・修繕費の全体像と、老後の住まいとの向き合い方について詳しく解説します。
持ち家世帯の老後生活費——統計が示す実態
老後の生活費を考えるうえで、まず現実の数字を確認しておくことが重要です。 総務省の家計調査は毎年全国の家庭の収支を調査した信頼性の高い統計であり、高齢者世帯の生活費の実態を知るための基本的な資料として広く活用されています。 2024年(令和6年)の最新データから、持ち家世帯の老後生活費の特徴を見ていきましょう。
高齢夫婦世帯の持ち家率と住居費の実態
総務省「家計調査 家計収支編(2024年)」によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦1組のみの無職世帯)の持ち家率は96.5%に達しています。 つまり、現在の高齢夫婦世帯のほぼ全員が持ち家に住んでいることになります。 現役時代に住宅ローンを完済し、老後はその家に住み続けるというライフスタイルが、日本の高齢者世帯においていかに一般的かを示す数字です。
この高い持ち家率が、家計調査における住居費の数字に直接影響しています。 同調査において、高齢夫婦無職世帯の住居費は月平均16,827円と報告されています。 賃貸住宅に住む現役世代の住居費と比べると、極めて低い水準です。 この数字だけを見ると「持ち家老後は住居費がほとんどかからない」と感じるかもしれませんが、実態はやや異なります。
持ち家世帯の月平均支出——住居費が低い理由と注意点
家計調査で住居費が低く見える理由は、住居費の定義にあります。 この統計上の「住居費」には家賃や地代は含まれますが、固定資産税や火災保険料は別の費目に計上されます。 また、大規模な修繕やリフォームにかかる費用は、支出が発生した月に一時的に計上されるため、月平均に平準化すると小さな数字になりがちです。
実際に同調査の住居費の内訳を見ると、「設備修繕・維持」として月平均14,734円が計上されています。 これは日常的な小修繕や設備メンテナンスの費用であり、屋根や外壁の大規模修繕、バリアフリー改修などの大型工事費用はこの金額には含まれていません。 つまり、月16,827円という住居費は、持ち家にかかるコストの一部を示しているに過ぎないのです。 固定資産税・火災保険料・大規模修繕費を合わせた「持ち家の真のコスト」は、この数字よりもずっと大きくなることを理解しておく必要があります。
費目別の詳細な生活費の内訳については、「老後の生活費 内訳」の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
参考サイト:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」(https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2024.pdf)
見落としがちな持ち家の維持費
持ち家に住んでいると、毎月の家賃負担がない分、住居費を意識しにくくなります。 しかし、持ち家には家賃に代わる形で、税金・保険料・修繕費という3つの費用が継続的にかかり続けます。 これらは「まとめて払う」「数年ごとに発生する」という性質があるため見落とされがちですが、年間・長期で積み上げると決して小さくない金額になります。
固定資産税・火災保険料の年間負担
持ち家を所有する限り、毎年必ず支払う義務が生じるのが固定資産税です。 固定資産税は土地と建物それぞれの評価額に対して課税される地方税で、税率は標準税率1.4%とされています。 実際の税額は物件の所在地や評価額によって異なりますが、一般的な戸建て住宅では年間10〜15万円程度が目安とされています。 市街化区域内の土地には、固定資産税に加えて都市計画税(税率最大0.3%)も課税されます。
建物の評価額は年々下がっていくため、築年数が経過するほど固定資産税は緩やかに減少する傾向があります。 ただし、土地の評価額は地価動向によって変動することがあり、立地によっては下がらないケースもあります。
火災保険料も、持ち家を守るために欠かせない継続的な支出です。 近年は自然災害の増加を受けて、火災保険に地震保険をセットで加入するケースが一般的になっています。 保険料は建物の構造・所在地・補償内容・築年数などによって大きく異なりますが、年間5〜10万円程度を見込んでおくとよいでしょう。 固定資産税と火災保険料を合わせると、持ち家の「毎年必ずかかるコスト」は年間15〜25万円、月換算で1.2〜2万円程度になります。 家賃ゼロの安心感の裏側に、こうした継続的な固定コストが存在することを忘れないようにすることが大切です。
修繕費の現実——30年で600万円超
固定資産税や保険料とは別に、持ち家には建物の老朽化に伴う修繕費が発生します。 アットホーム株式会社が2023年に実施した「一戸建て修繕の実態調査」によると、新築一戸建てを購入して30年以上住んだ方の修繕費の平均総額は615.1万円という結果が示されています。 木造住宅では平均628.8万円、鉄筋・鉄骨造では平均582.4万円という内訳です。
修繕費がかかった箇所として最も多かったのは外壁で、修繕回数は平均1.7回、費用の合計は平均138.3万円に達しています。 続いてトイレや屋根、給湯器などが上位を占めており、水回りや屋根まわりは特にまとまった費用がかかりやすい箇所です。
30年間の総額615万円を月に換算すると、月約1.7万円に相当します。 家賃を払わない代わりに、長期的には毎月これだけの修繕費を積み立てておく必要があるとも言えます。 しかし同調査では、修繕費を毎月積み立てていると答えた方は全体のわずか8.9%にとどまっており、多くの方が修繕が発生するたびに貯金から対応しているのが実情です。 老後に大規模な修繕が重なると、限られた貯蓄を一気に取り崩すことになりかねません。 現役時代のうちから修繕費を計画的に準備しておくことが、老後の家計を守るうえで重要な視点となります。
参考サイト:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」(https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2024.pdf) 参考サイト:アットホーム株式会社「2023年『一戸建て修繕』の実態調査」(https://athome-inc.jp/news/data/questionnaire/kodate-shuuzen-202310/)
老後に生じやすい大規模修繕とバリアフリー改修
持ち家の修繕費は、築年数が経つにつれて発生する時期と金額がある程度予測できます。 あらかじめどの時期にどのような工事が必要になるかを把握しておくことで、老後の家計への影響を最小限に抑える準備が可能になります。 また、身体的な変化が生じる老後には、安全に暮らすためのバリアフリー改修も重要な課題となります。
築年数別の主な修繕内容と費用目安
戸建て住宅は、一般的に新築から10年を過ぎた頃から本格的なメンテナンスが必要になり始めます。 外壁の塗装は築10〜15年を目安に1回目の塗り替えが推奨されており、費用は規模や素材によって異なりますが、100万円前後が一般的な目安です。 屋根の修繕も同じく築10〜20年の間に1回目が必要となることが多く、こちらも100万円程度を見込んでおく必要があります。
築20〜25年になると、水回り設備の老朽化が目立ってきます。 お風呂やキッチン、トイレといった設備の交換・リフォームには、それぞれ100〜130万円程度の費用がかかるとされています。 給湯器は一般的に耐用年数が10〜15年とされており、老後の間に少なくとも1〜2回の交換が必要になることがほとんどです。 給湯器の交換費用は機種や工事内容にもよりますが、20〜50万円程度が目安です。
築30年以上になると、外壁・屋根の2回目の修繕サイクルに入るとともに、電気配線や給排水管の老朽化への対応も検討が必要になります。 これらが重なる時期は修繕費の総額が一気にかさむことがあり、数百万円規模の支出が短期間に集中するケースも珍しくありません。 老後60代後半から70代にかけてこうした修繕ラッシュが訪れることを念頭に置き、60代のうちから計画的に資金を確保しておくことが安心につながります。
バリアフリー改修の必要性と費用
大規模修繕とは別に、老後の暮らしを安全に続けるためにはバリアフリー改修も重要な課題です。 加齢とともに足腰の筋力が低下し、段差でのつまずきや浴室での転倒といった事故が起きやすくなります。 国土交通省の調査でも、高齢者の家庭内事故の多くが居室・廊下・浴室・玄関といった日常動線上で起きていることが示されており、住まいの安全対策は早めに取り組んでおくことが推奨されています。
バリアフリー改修の主な内容としては、手すりの設置、段差の解消、浴室・トイレの改修、廊下幅の拡張、すべり止め床材への変更などが挙げられます。 小規模なものであれば数十万円から対応できますが、複数箇所をまとめてリフォームする場合は100〜300万円程度の費用になることもあります。
介護保険の住宅改修制度を活用すれば、手すりの設置や段差解消など対象となる工事について、20万円を上限として費用の7〜9割が支給されます。 ただし支給額には上限があるため、大規模なバリアフリー改修には自己負担分の準備が必要です。 要介護認定を受ける前でも、予防的な改修として早めに取り組んでおくことで、転倒や介護状態への移行を防ぐ効果が期待できます。 持ち家で老後を安心して過ごすためには、修繕費と並んでバリアフリー改修の費用も老後の住居コストとして見込んでおくことが大切です。
参考サイト:アットホーム株式会社「2023年『一戸建て修繕』の実態調査」(https://athome-inc.jp/news/data/questionnaire/kodate-shuuzen-202310/)
持ち家のメリットと賃貸との違い——老後視点で整理する
ここまで持ち家にかかる維持費や修繕費の現実を見てきました。 しかし、老後における持ち家の価値はコスト面だけで測れるものではありません。 賃貸住宅との比較を通じて、持ち家が老後の生活にもたらすメリットと、賃貸との本質的な違いを整理しておきましょう。
住居費が安定するという安心感
持ち家最大のメリットは、住居費が長期にわたって安定することです。 住宅ローンを完済した後は、固定資産税・保険料・修繕費といった維持コストは発生するものの、家賃のように毎月一定額が出ていく必要はありません。 収入が年金のみに限られる老後においては、この住居費の安定が家計全体の安心感に直結します。
賃貸住宅の場合、毎月の家賃は老後も変わらず家計を圧迫し続けます。 都市部では月6〜10万円以上の家賃が必要なケースも多く、年金収入だけで賄うのは容易ではありません。 また、高齢になるほど賃貸住宅の入居審査が厳しくなる傾向があり、住み替えを希望しても断られるケースがあるという問題も指摘されています。 持ち家があれば、こうした入居拒否のリスクとは無縁でいられます。
さらに、持ち家は自分の所有物であるため、室内をリフォームしたり、生活動線を自分好みに整えたりする自由度が高い点も大きなメリットです。 賃貸では難しい大掛かりなバリアフリー改修も、持ち家であれば自由に実施できます。 老後の暮らしを自分たちのペースでカスタマイズできることは、精神的な豊かさにもつながります。
売却・住み替えという選択肢
持ち家には、いざとなれば売却して資金を確保できるという側面もあります。 老後の生活費が厳しくなった場合や、介護施設への入居が必要になった場合に、自宅を売却することで一定のまとまった資金を手にすることができます。 立地条件や市況によって売却価格は大きく異なりますが、長年住んだ持ち家が「いざというときの資産」として機能する可能性は、賃貸にはない持ち家ならではの選択肢です。
また、自宅を売却した後に別の住居へ住み替えるという方法も選択肢のひとつです。 子どもが独立して広すぎる家を持て余している場合や、維持管理が負担になってきた場合には、コンパクトなマンションや高齢者向け住宅へ住み替えることで、生活費全体を見直すきっかけにもなります。 住み替えの判断は早いほど選択肢が広がりやすいため、70代前半のうちに一度立ち止まって考えることをおすすめします。
持ち家か賃貸かという問いに正解はありませんが、老後の生活費を設計するうえで「住まいをどう活用するか」を意識的に考えることが、安心な老後への重要な視点となります。 夫婦2人の老後における住居費と収支の詳細については「老後の生活費 夫婦」の記事もあわせてご参照ください。
参考サイト:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」(https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2024.pdf)
老後の持ち家を守るための準備と考え方
維持費・修繕費・バリアフリー改修と、持ち家にかかるコストの全体像が見えてきました。 大切なのは、これらの費用を「突然の出費」として受け身で迎えるのではなく、ある程度予測したうえで計画的に備えておくことです。 老後の持ち家を安心して守り続けるために、具体的な準備の考え方を整理します。
修繕費の積み立て方
修繕費の準備において最も重要なのは、「いつ・何に・どれくらいかかるか」をあらかじめ大まかに見積もっておくことです。 前章で確認したように、戸建て住宅の修繕費は30年間で600万円超が目安となっています。 これを月換算すると約1.7万円に相当するため、現役時代から毎月1〜2万円を修繕専用の口座に積み立てておく習慣を持つことが理想的です。
すでに退職を迎えた方や積み立てが十分でない方は、退職金の一部を修繕費用として別口座に確保しておく方法も有効です。 老後の生活費として使う資金と、住まいのメンテナンスのための資金を明確に分けて管理することで、大きな修繕が発生したときに慌てずに対応できます。
また、修繕費は一度に大きな金額が必要になることが多いため、複数の業者から見積もりを取り比較検討することが重要です。 アットホームの調査でも、見積もりを依頼した経験者からは「3社程度に見積もりを依頼して比較するべき」という声が多く寄せられています。 修繕のタイミングを業者任せにせず、自分たちで定期的に住まいの状態を点検し、早めに対処することで費用を抑えられるケースも少なくありません。
住み替えを判断するタイミング
老後の持ち家については、「住み続ける」だけが選択肢ではありません。 建物の老朽化が進んで維持費がかさむ場合、広すぎる家に1人または2人で住み続けることが負担に感じる場合、あるいは子どもの住まいの近くに引っ越したい場合など、住み替えを検討するタイミングはいくつか訪れます。
住み替えの判断は、体力・判断力・資金力がある早い時期ほど選択肢が広がります。 80代になってから住み替えを決断しようとしても、引っ越し作業の負担や新居探しの困難さが増すため、70代前半のうちに一度立ち止まって検討することをおすすめします。 自宅を売却してコンパクトなマンションや高齢者向け住宅へ移ることで、維持管理の手間と費用を大幅に削減できるケースもあります。
持ち家を手放すことに抵抗を感じる方も多いですが、老後の生活の質を高めるための合理的な判断として、住み替えを前向きに検討することも大切な視点です。 「今の家をいつまで維持できるか」を夫婦で率直に話し合い、早めに方向性を定めておくことが、老後の住まいにまつわる不安を和らげる最も現実的なアプローチといえるでしょう。
参考サイト:アットホーム株式会社「2023年『一戸建て修繕』の実態調査」(https://athome-inc.jp/news/data/questionnaire/kodate-shuuzen-202310/)
よくある質問
Q1. 持ち家があれば老後の住居費はかからないのですか?
住宅ローンを完済していれば家賃の負担はなくなりますが、持ち家の維持にかかる費用は引き続き発生します。 固定資産税が年間10〜15万円、火災保険料が年間5〜10万円、さらに築年数に応じた修繕費が長期的にかかります。 30年間の修繕費の平均総額は600万円超というデータもあり、月換算で約1.7万円に相当します。 「家賃ゼロ=住居費ゼロ」ではないことを念頭に置いて、老後の生活費を設計することが大切です。
Q2. 老後の持ち家にかかる維持費は年間いくらが目安ですか?
固定資産税・火災保険料・日常的なメンテナンス費用を合わせると、年間20〜30万円程度が目安の一つです。 これに加えて、10〜15年ごとに外壁や屋根の大規模修繕が発生し、水回り設備の交換なども必要になります。 大規模修繕が重なる年には、数百万円規模の支出が一時的に集中することもあるため、日頃から計画的に積み立てておくことが重要です。
Q3. バリアフリー改修にはどのくらいの費用がかかりますか?
改修の内容や規模によって大きく異なりますが、手すりの設置や段差解消といった小規模な工事であれば数十万円から対応可能です。 浴室・トイレ・廊下などを複数箇所まとめてリフォームする場合は、100〜300万円程度になることもあります。 介護保険の住宅改修制度を利用すれば、対象工事について20万円を上限に費用の7〜9割が支給されます。 要介護認定を受ける前でも予防的な改修として利用できる場合がありますので、お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。
Q4. 持ち家と賃貸では老後の生活費はどちらが安くなりますか?
一概にどちらが安いとはいえず、個々の状況によって異なります。 持ち家は住宅ローン完済後の家賃負担がない一方、維持費・修繕費・固定資産税が継続的にかかります。 賃貸は毎月の家賃が家計を圧迫し続けますが、修繕費や固定資産税の負担はありません。 老後の総コストで比較するには、それぞれの具体的な金額をシミュレーションしてみることをおすすめします。
Q5. 老後に持ち家を売却して賃貸に住み替えることはできますか?
可能です。 自宅を売却して得た資金を老後の生活費や介護費用に充てながら、よりコンパクトな賃貸住宅や高齢者向け住宅へ移る方法は、近年選択する方が増えています。 ただし、高齢になるほど賃貸住宅の入居審査が厳しくなる傾向があるため、住み替えを検討するなら70代前半のうちに動き出すことが選択肢を広げるうえで重要です。 売却価格は立地・築年数・市況によって大きく変わるため、複数の不動産会社に査定を依頼して比較することをおすすめします。
Q6. 持ち家の修繕費はどのように準備しておけばよいですか?
現役時代から毎月1〜2万円を修繕専用の口座に積み立てておく方法が理想的です。 すでに退職を迎えた方は、退職金の一部を生活費とは別の口座に確保しておくとよいでしょう。 修繕が必要になったときは複数の業者から見積もりを取り比較検討することで、費用を抑えられる場合があります。 住まいの状態を定期的に自分たちで点検し、小さな不具合を早めに対処することが、大規模修繕のコスト抑制にもつながります。
参考サイト:アットホーム株式会社「2023年『一戸建て修繕』の実態調査」(https://athome-inc.jp/news/data/questionnaire/kodate-shuuzen-202310/)
まとめ
この記事では、老後の生活費における持ち家の実態について、2024年の最新データをもとに解説してきました。 ここで重要なポイントを整理します。
高齢夫婦無職世帯の持ち家率は96.5%と非常に高く、家計調査の住居費が月平均16,827円と低く見えるのは、持ち家世帯が大多数を占めているためです。 しかし、固定資産税・火災保険料・修繕費・バリアフリー改修費など、持ち家には家賃に代わる継続的なコストが存在します。 戸建て住宅の修繕費は30年間で平均600万円超というデータもあり、「持ち家=住居費ゼロ」という認識は実態と異なります。
一方で、住居費が長期にわたって安定すること、賃貸入居審査のリスクがないこと、いざとなれば売却・住み替えという選択肢があることなど、持ち家には老後の安心を支える確かなメリットもあります。
大切なのは、維持費・修繕費を「突然の出費」として受け身で迎えるのではなく、ある程度予測したうえで早めに準備しておくことです。 現役時代から修繕費を積み立てておくこと、70代前半のうちに住み続けるか住み替えるかを夫婦で話し合っておくことが、老後の住まいにまつわる不安を和らげる現実的なアプローチです。
老後の生活費全体の概要については「老後の生活費」の親記事を、費目別の支出内訳については「老後の生活費 内訳」を、夫婦2人の収支シミュレーションについては「老後の生活費 夫婦」を、老後に必要な準備総額の計算については「老後の生活費 いくら必要」をあわせてご参照ください。

